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「私はテレビドラマが好きで仕事を終えた帰宅後には、必ず録画したビデオを1本か2本鑑賞して一日のストレスや疲れを癒している。
たくさんの作品を見ていると、中には入院中の家族を見舞うシーンもあるが、それを観ると早世した娘の面影が呼び起こされてさらに感情が深まる。
ほとんど意識が無い25歳の娘が入院中、私は病床のか細い娘の手を取っては何度も頬ずりをして回復を祈った。
無言の手はとても冷たかったが、冷たさにもかかわらずその手は何かを伝えてくれるようで、私の頬はほの暖かい感覚がした。
その手には、父と娘の深い絆と愛情が宿っているのが伝わり、私は娘を愛してやまずいつまでも守りたいと思った。
入院中の35日間、私はベッドの横で時々遠い昔を思い出しながら娘の手を離すことなく、ずっと見守り続けた。
娘が小さな時には、無邪気で愛らしい顔を見るたびに思わず抱き上げて頬ずりをした。寝てる時にも頬ずりをしてはおでこにキスをしたこともあった。
「ちっちゃくて、瑞々しくて、温かくて、柔らかくて、可愛くて、幸福感が生まれて、こんな宝物ほかにはない」と思いながら。
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