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慕嬢詩 hitomiの詩97 フユシラズ |
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ぎっくり腰で整骨院に通いはじめて8日目、一向に良くならない私に、整体師は「圧迫骨折の可能性があるので一度病院でレントゲンを」と言った。
その近くにある病院に行くも、予約が優先、初診は後回しで2時間半以上も待たされた。レントゲン、診療、会計と薬局の合計で3時間半もかかった。
付き添いの妻は「私も一緒に来てて良かったわ。これだけの時間を家で待ってたら何かあったのでは?と心配で気が気でなかったわ」と。
そしてレントゲン検査の結果、「腰の疲労の蓄積と加齢が回復を遅らせただけで圧迫骨折はありません。一週間は安静にして下さい」とのこと。
妻は「あ〜ぁ、良かった。骨折で入院してたら大変になるとこやったわ」
私は「ホンマやな、この時期に入院したらコロナと思われるな」と返答。そして妻は「娘が天国から護ってくれたんやで」と言った。
治療を終え薬局で薬を処方してもらった帰りしな、気分も足取りも少し軽くなったので近くの公園に寄り道をした。
訪れる人もまばらな公園はまだ冬枯れていたが、少し歩いた片隅に鮮やかな黄色の小花の群生を見つけた。
これはフユシラズという花で、冬枯れた景色の中に可愛く色づいた花を見つけられたのは、ささやかな喜びになった。
原産は地中海沿岸でカレンデュラという花だが、真冬でも寒さにも負けないで次つぎと花を咲かせるので『冬知らず』と名付けられている。
花言葉は「乙女の美しい姿」。花の少ない冬の日に私の目を引いたが、娘が現れて笑顔で声をかけてくれているように思えた。
人一倍寒がりなのと骨折の心配と腰痛で思うように動く事が出来ずふさぎ込んでいた私は、寒さと痛さに絶える気力がわいて元気を取り戻した。
※慕嬢詩(ボジョウシ)=亡くした娘を慕う気持を綴った詩・文。私の創作語。
#慕嬢詩 #フユシラズ #有村正
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