hitomi's poem
hitomiの詩 part96 天の声





 まとっていたものを全て脱ぎ捨てた街路樹で、無彩色になった街並み。
 北から吹く冷たい風に草木はふるえ、私はコートの襟を立てる。
 どこからともなく『商売繁盛笹もってこい!』の掛け声が聞こえてきた。
 空を見上げると、『えべっさん』の宣伝飛行をするセスナ機が飛んでいる。
 この近くの堺戎神社の『十日戎』の宣伝だが、天の声のように降り注ぐ。
 私は10日の『本えびす』に、昨年の熊手を持って商売繁盛の祈願に行った。
 今年のえべっさんは例年と違って新型コロナの感染対策のため、一方通行での参拝。
 また、いつもは賑々しかった露店が境内での出店がなくなり、子供たちは寂しそう。
 参道の店の前には少し飲食販売はあるが、いつものえべっさんと比べるとかなり物足りない。
 大阪・ミナミでは、今宮戎の『本えびす』に行なっていた、宝恵かご行列が中止になった。 
 新型コロナで多くの人たちや事業者に影響を与え、社会や経済は冷えてきってしまった。
 「コロナに負けへんで」と祈願すると、『お父さん、コロナに負けないで頑張ってね!』
 天からの娘の声が、私の心に降り注いだ。

※慕嬢詩(ボジョウシ)=亡くした娘を慕う気持を綴った詩・文。私の創作語。



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