hitomi's poem

hitomiの part34(節分)


 
2月に入るとすぐに節分だ。
「鬼は〜外、福は〜内」
それぞれの家庭から聞こえてきそう。
我が家でも瞳が小さな頃にやりました。
父親の私が鬼です。娘には甘い鬼です。
私は鬼の面をかぶり部屋の外へ出ました。
「鬼は〜外、福は〜内」
瞳は赤いほっぺを緩ませながら鬼に豆をまきました。
「鬼は〜外、福は〜内」
寒さでかじかんだ小さな手で豆を掴んでまきました。
「鬼は〜外、福は〜内」
無病息災祈願の訳もわからず楽しそうにまきました。
「鬼は〜外、福は〜内」
妻も微笑みながら一緒に豆をまきました。
「ハックショ〜ン!」
ベランダの私はくしゃみをひとつした。
こんなに寒くては鬼も来ないだろう。
部屋の中に入りお互いに年の数だけ豆を食べました。
妻は30粒、私は35粒、瞳は5粒だけ…。
私のを見て、もっと欲しそうだった。
「鬼は〜外、福は〜内」
瞳は恨めしそうに残りの豆を外へ向かって投げた。
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hitomiの part35(娘の同級生)


街の薬局屋さんで見かけた瞳の同級生、頑張って働いている。
瞳が小学生の時に、何度か家(うち)に遊びに来た事がある。
あの頃はあどけない少女だったが、すっかりいい娘さんになっている。
「瞳の父親です」と声をかけたいが、きっと悲しい話になると思い控えた。
瞳も今、生きていれば30歳。いい大人になっていただろう。

常連のお客さんが店に娘さんを連れて来た。聞けば瞳の同級生だった。
中学生の時に一緒に遊んだとか。まさか知り合いの娘さんだったとは…。
今はお父さんの居酒屋を手伝っている、親孝行なお嬢さんだ。
もし瞳が生きていたら店を手伝ってもらい、一緒に働いていたかも。
私の心はウキウキと弾んで、明るく楽しい店のイメージが目に浮かぶ。

近くの遊歩道で見かけた瞳の同級生、小さな子どもを連れていた。
瞳の小学生から中学生にかけて、ずっと仲が良かった友達だ。
あの時の愛くるしい子供が、すっかりいいお母さんになっている。
瞳が今、生きていればそろそろ人生の第2ステージを迎える。
可愛い子供をもうけて、いい母親になっていたに違いない。

瞳の同級生の母子を見ると想像します。
「用事があったらいつでも子供を預けにおいでや、面倒みるで」
そして近くの公園へ連れて行ったり、スーパーで欲しいモノを買い与えたりと
孫に甘〜い甘〜いおじいちゃんになっている自分を…。

瞳の同級生の皆さん、幸せになってください。
瞳の分まで…
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