hitomi's poem |
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昨日、誕生日を迎えた娘の墓参りに行った。 もし生きていたら9月13日で30歳になる。 娘がこの世に生を受けた祝福すべき日なのに、 まさかこんな形で迎えようとは夢にも思わなかった。 30歳、世間ではいい年頃の娘、お嫁にいっていたかも… 場合によっては、私は孫を抱けたかも… いや、目指していたダンスの道に進んでいたかも… ああ、生きている時にもっと手を差し伸べていたら… 不憫(フビン)な娘への様々な思いが脳裏を駆け巡る。 私は仕事にかまけて構ってやれなかった。 お詫びの言葉を探して娘を思えば目が潤む。 涙がこぼれ落ちないように空を見上げれば、 遠く離れて届かぬ思いに、今日もまた胸を焦がす。 墓前に花をたむけ、ロウソクの代わりに線香を30本立てた。 1本1本、1歳から25歳までの思い出をこめて火をつけた。 空間に娘の誕生から死去までの出来事が走馬灯のように甦る。 残りの5本、私はイメージを膨らませながら火をつけた。 そして細々と揺れる煙に手を合わせ「誕生日おめでとう」と唱えた。 一句:二十五で 止まった娘も 三十路なる |
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「私の夢はダンスを極めて有名なダンサーになることや」 そして、その世界で憧れられる人になりたいと云っていた そして、歌が大好きで大きな舞台で唄ってみたいと云っていた その娘が志し半ばの25歳の夏、病いと闘いながらもこの世を去った その無念さを思うと、いたたまれない悲しさで胸が締めつけられた 親として娘を助けられなかった無力さを、悔んでは唇をかみしめ涙した 赤い表紙のアルバムを開いて、娘の写真を見ては幾度となく涙をこぼした とめどなく流した涙はやがて天へと続く河となり、娘の住む星空へと導いた そして私は無我愛に目覚め、娘の為には泣いてばかりいられないと気がづいた 「そうや、娘の夢をお父さんが叶えてあげよう」 娘の夢の途中を引き継いだ私は、頑張って地元ののど自慢に優勝した NHKホールのグランドチャンピオン大会で、娘の写真を胸に唄いました そう、大舞台で唄いたいと言っていた娘と一緒に唄ったのです 私は今、もう一つの娘の夢を叶えようと、次なるステップを目指している ふと思いめぐらせば、娘の夢は私が若い頃に描いていた夢に近かった 娘の夢を叶えることは、自分の夢を叶えることでもあったのだ 世間の荒波に呑まれ、いつしか泡沫の如く消え去った私の夢 それを叶える為に、天国から娘は私の背中を押してくれている… ※慕嬢詩(ボジョウシ)=娘を慕う気持を綴った詩・文。私の創作語。 ※無我愛(ムガアイ)=我欲のない真の愛情。 ※泡沫(ウタカタ)=水面に浮かぶあわ。 一句:夢のため 親が亡き娘(コ)に 導かれ |
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