hitomi's poem |
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書架で本を探していたら瞳が遺した本を見つけた。 瞳を思い出しながら本を手に取り何気なくパラパラめくった。 ページの間から挟まっていた一通の年賀状がはらりと落ちた。 裏面には「あけましておめでとう、旧年中は」とだけ書いてある。 つたない文字の書きかけの年賀状、ピンクのペンで書いていた。 一体、何を書こうとしていたのだろうか。 その続きは自分で想像して思いをめぐらす。 新年の抱負?お礼?挨拶?近況?他愛もない話? これは仲の良い友達に書こうとしたが失敗してやめた? ひょっとすると彼氏に出すはずだったのかな? いや、あの頃はまだいなかったはずや。 それとも私が知らなかっただけなのかな? 色々と詮索をしては瞳の遠い昔を思い浮かべる。 表(オモテ)を見ると宛先はまだ書いていない。 一体、これは誰に出すつもりだったのだろうか。 その友達は、娘が亡くなったのを知っているのかな。 相手が分かれば、私が続きを書いて出してあげるのに… いや待てよ、 瞳の数少ない手書きの文字。魂が伝わる大切な一品(ヒトシナ)。 見ていると温もりが感じとれる。 愛おしさがこみあげてきた。 これは大切に形見にとっておこう。 |
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夕べ久しく瞳と夢の中で逢いました 薄ぼやけたスクリーンの中に映し出された 瞳の姿が現れては暗闇の中に消えていく なにげなく憂いを秘めた眼差しが 私に何かを伝えいような顔をしていた でも、遠く離れていたので話せない 唇がかすかに動いているが聞こえない 声をかけるが通じなくて歯痒い思いに駆られた 言葉を交わしたいのに暗闇の中に消えていった 消えたはずの瞳がまた夢の中に現われた 微笑んでいるのか悲しんでいるのか見当が… 近くに居るのに手を伸ばしても届かない せめて夢の中で優しく強く抱きしめたい 手をつなぎ瞳のぬくもりを感じたい でも、無理だよね、夢の中なんだもの ずっと独りでいると思うと切なくて 瞳のところへ行ってあげられないもどかしさ 淋しそうな顔をして暗闇の彼方へ消えていった なんともいえない不思議な時間だった 淋しくしているのではと気にかかる また逢いたいと思う、見たいと思う また夢の中に出てきて欲しいと 瞳の遺影を見ては心の中で強く祈る |
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