hitomi's poem |
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あれは22年前の冬、君が4歳の時だった。 午前3時、仕事を終えて外に出ると一面純白の銀世界。 薄暗い空から雪がしずしずと舞い降りていた。 山茶花(サザンカ)の枝に、白いショールみたいに覆っている。 車には白い布団をかぶせたように分厚く積もっていた。 静まり返る空間、人っ子一人いない往来。 しかし真夜中というのに辺(アタ)りはほの明るい。 久しぶりの墨絵景色の美しさを見せようと、 家でスヤスヤと寝ていた君を無理やり起こしたね。 眠い目をこすりながら、赤いガウンを纏(マト)って表に出ると、 初めて見る一面の白い雪景色にパッと目を輝かせ驚いていた。 眠気も忘れて白い綿を敷き詰めたような裏の空き地に下り、 まだ誰も踏み見入れていない白いキャンバスの上を、 私が一番乗りと小さな足跡で曲がりくねった線路の絵を描いたね。 冷たいと云いながらも小さな手を真っ赤にして雪をかきあつめ、 白い息を吐きながら雪をまるめてだるまさんを作った。 私も童心に戻り、一緒になって解けにくいようにかたく固めた。 顔のパーツを探しに家の冷蔵庫の中をあさった。 目はプチトマト、鼻はバナナ、口はミカン。 なんとなくしまりのないユーモアな顔になってしまった。 雪だるまは親子の絆を深めるためにくれた天からのプレゼントだ。 |
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