hitomi's poetry
想い出(つづ)り−18 バレンタイン・チョコ
cici

君が中学生の頃、
ハートの形や星形にまるい形などの型抜き、
そして沢山の材料をテーブルの上に並べて
おいしそうなバレンタインのチョコレートを
レシピを見ながら心を弾ませて作っていたね

バレンタイン・デーの意味を知ってるのかな?
誰に渡すのかな?義理チョコ?本命は誰かな?
もう好きな子がいるのかな?
ピンクの紙に包んだチョコレートを見ながら
チョコの行方を色々と詮索したのを思い出す

そうそう、私には無かったな
いや、別に欲しいとは思ってなかったよ
君の幸せそうな姿を見ているだけで嬉しかったよ
それまで台所に立った事がなかったので
そこでモノを作っている君の姿を見て
少し成長したなと心ひそかに微笑んだ

今、思い出しながら詩を書いていると
あの時の甘いチョコレートの匂いが
私のハートにほのかに漂ってきた





















想い出(つづ)り−19 瞳と子猫
cici

瞳は小さな時から猫が好きだった。
いつも猫の本を見ては胸を膨らませていた。
小学校低学年の頃、近くの公園で捨て猫を見つけたが、
ママは猫が嫌いだったので「家で飼って」とは云えなかった。
そこで瞳は自宅の裏で内緒で飼おうと思い、子猫を拾ってきてた。

その夜、仕事を終えてママが店の横にゴミを捨てにいった時、
ゴミ箱のフタの上に小さな子猫がミャオ、ミャオと泣いていた。
子猫は瞳が小屋代わりに用意したダンボール箱から出てきたのである。
予想もしていなかった子猫の出現に「なに、コレ!」と一瞬たじろったが、
酔っていたのとあまりの可愛さに、ママは猫嫌いなのを忘れて抱き上げた。
そして3階まで上がり、寝ている娘に「ヒトちゃん、猫やで…」と云って起こした。

瞳は自分が拾ってきたとは云えなかったが、「飼ってくれるのでは」と内心期待した。
掌(テノヒラ)に納まるくらいのちっちゃな子猫を見て、ママは「可哀想やから飼おか」と云った。
まだ目が見えてないみたいな子猫。名前はピヨピヨと泣いている感じだったので「ピヨ」と名付けた。
ピヨのお陰でママの猫嫌いが払拭(フッショク)できた。本当は食わず…飼わず嫌いだったのである。
ピヨは親子三人のオモチャになった。一人娘の瞳は目を輝かせて妹のように可愛がった。

数ヵ月後、味をしめた瞳は近くの公園からまた一匹子猫を拾ってきた。
ピヨ一匹では淋しかろう、仲間が必要と思ったママは抵抗なく受け入れた。
アメリカンショートヘアのような毛並みの子猫に「ピコ」と名付けた。
大きくなったピコは4匹の子猫を産み、我が家は6匹の猫に囲まれるようになった。
ピヨとピコに色白のシロ、元気なピロ、やんちゃなペペ、鏡を見ては毛を逆立て驚くペロ。

子猫たちはベッドに入ってくるので、寝返りがうてなくて睡眠不足になったこともあった。
時々爪でひっかかれ手には傷が絶えないが子猫は可愛い。眺めているだけでも可愛い。
瞳は遊んだり、抱いて寝たり、ミルクをやったり、トイレの世話をしたりとネコ・ライフを楽しんだ。
やがて一匹ずついなくなったが、瞳が大人になり一人住まいをした時に猫を飼ったと聞いた。
我が家の猫とのかかわり合いは、瞳が拾ってきたことから始まったのである。



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