四年前の夏のことだった。 この頃、変な事がおきるので先祖の供養をしたいと瞳が云った。
滅多に頼みごとを云わない娘の為に、墓参りに行くことになった。
強い陽射しが肌にジリジリと差し込む白い午後、車を走らせた。
今までなかった二人だけのドライブ、おもむろに車窓に目をやる。
しばらく離れて暮らしていたので父娘間の温度差を感じた。
ぎこちない空間を埋めるのに言葉探しで暫らく無言の時が過ぎた。
助手席の娘、子供の頃を懐かしんでいるのか目を瞑る。
思案しながらハンドルを握れば、窓の外の雲が悶々と流れる。
私は近況を切り口に、徐々に話題を膨らませた。
たっぷり時間があったので、色々と話をしたね。
東京へ行きたいと云っていたが、諭して諦めさせたよな。
霊園までの遠い道のり、自宅から1時間半でお墓についた。
掃除、お花、お線香、久しぶりに亡父に話しかけた。
先祖の墓参りを終えて、今度はおばあちゃんが眠る霊園へ。
初めてのコースで少し迷ったね。これもいい思い出になる。
あの時私は、あの標識が間違っていると言い訳したっけ。
あれから三年、まさか娘の墓参りをするなんて…。
自宅近くのお寺に(建立した)設けた娘のお墓に手を合わせる。
父親が娘の墓参りをする?こんな心苦しいことはない。
供養と近況を報告をしてから、先祖の霊園へお参り。
娘との墓参(ボサン)ドライブが、しみじみ想い起こされる。
娘の面影を胸に、遺影を助手席に据えエンジン始動。
張り裂けそうな気持ちになり、心なしかアクセルを強く踏む。
窓の外の景色はあの時と違ってビュンビュンブッ飛んだ。
ガンガンにCDのボリュームを上げ、ギュンギュン突っ走った。
こみ上げる涙を吹き飛ばすように…
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