hitomi's poetry
想い出(つづ)り−20 墓参り
cici

四年前の夏のことだった。
この頃、変な事がおきるので先祖の供養をしたいと瞳が云った。
滅多に頼みごとを云わない娘の為に、墓参りに行くことになった。
強い陽射しが肌にジリジリと差し込む白い午後、車を走らせた。
今までなかった二人だけのドライブ、おもむろに車窓に目をやる。
しばらく離れて暮らしていたので父娘間の温度差を感じた。
ぎこちない空間を埋めるのに言葉探しで暫らく無言の時が過ぎた。
助手席の娘、子供の頃を懐かしんでいるのか目を瞑る。
思案しながらハンドルを握れば、窓の外の雲が悶々と流れる。
私は近況を切り口に、徐々に話題を膨らませた。
たっぷり時間があったので、色々と話をしたね。
東京へ行きたいと云っていたが、諭して諦めさせたよな。
霊園までの遠い道のり、自宅から1時間半でお墓についた。
掃除、お花、お線香、久しぶりに亡父に話しかけた。
先祖の墓参りを終えて、今度はおばあちゃんが眠る霊園へ。
初めてのコースで少し迷ったね。これもいい思い出になる。
あの時私は、あの標識が間違っていると言い訳したっけ。 

あれから三年、まさか娘の墓参りをするなんて…。
自宅近くのお寺に(建立した)設けた娘のお墓に手を合わせる。
父親が娘の墓参りをする?こんな心苦しいことはない。
供養と近況を報告をしてから、先祖の霊園へお参り。
娘との墓参(ボサン)ドライブが、しみじみ想い起こされる。  
娘の面影を胸に、遺影を助手席に据えエンジン始動。
張り裂けそうな気持ちになり、心なしかアクセルを強く踏む。
窓の外の景色はあの時と違ってビュンビュンブッ飛んだ。
ガンガンにCDのボリュームを上げ、ギュンギュン突っ走った。
こみ上げる涙を吹き飛ばすように…























想い出(つづ)り−21 小公園
cici
私達の憩いの場として親しまれている
家の近くの小公園がリニューアルした。
小さな花壇の色とりどりの花々が綺麗だ。
カラフルなブランコ、シーソー、すべり台、
昔の面影残しつつ、新しい遊具を設(シツラ)えた。
ヒトミが小さな頃、ここでよく遊んだね。
そう、公園デビューもここだった。
砂でつくった饅頭でおままごと、ボール遊びもしたっけな。
藤棚のベンチでひと休み、父と子が体を寄せ合いお話タイム。
好奇心旺盛な君の質問攻めには参ったよ。
あの時、眺めた西空の夕日が眩しかったね。
傍の大きなくすの木が二人をずっと見守ってくれていた。
のどかな安らぎと自然の心地よさを感じたひと時だ。
大きい影と小さい影を並べて歩いた帰り道、
つないだ小さな手のぬくもりが今も心に残る。
今はこの公園内に足を踏み入れることは無いが
横を通るたびに、思い出すよ君との遠い昔を。



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