hitomi's poetry
想い出(つづ)り−16 ルミナリエ
cici
毎年12月に入ると神戸ルミナリエのニュースが流れる。
テレビの画面を見ていたら2枚の写真を思い出す。
そのルミナリエの感じからすると11年ほど前の写真だ。
会場の東遊園地内・スパッリエーラの前で撮った
幸せそうなカップルと楽しそうな男女4人の写真。
周りに写っている人々も楽しそうで幸せそうだ。
娘の横にいるのは彼氏、初めて家に連れて来た子だ。
もう一組のカップルは面識のない人たちだ。
いろいろな友達がいたんだなと、しみじみ思った。
白いコートに身を包んだ愛しいhitomiは
光のファンタジーの中でひときわ輝いていた。
しかし、煌(キラ)めく君は今はもういない。
もっと私のそばで輝いていて欲しかったのに。

ルミナリエはテレビや写真でしか見たことがないが
イタリア生まれの小さな電球が織りなす光の芸術。
漆黒の空に色とりどりの光で幻想的な世界に誘(イザナ)う。
考えるだけでも胸がわくわくしてきた。
私達夫婦は仕事の都合で今は行けないが
いつか一度は行ってみたいと思う。
娘を偲ぶために…
























想い(つづ)り−17 瞳とはるかと夕日
はるか
電話がずっと鳴っている。
誰やろ?携帯の画面には、その時の呼び名でココロと出ていた。
ココロの本名は瞳。当時よく一緒に居た友達だ。顔がとても小さく、
お洒落で、一つ年上の彼女は、私の憧れだった。
「もしもし」寝起きの私は面度くさそうに電話にでた。
「毎度!!田舎モン。寝てたんか?あっし部屋決まったで。あんたの
家から近いで。今その家にいてるから遊びにおいでやー」 
九州の宮崎から大阪に出てきて一年。まだまだ、なまってる私に
ココロは田舎モンと名づけていた。
「マジで?どこらへんなん?今からすぐ行く。寝起きやからすっぴん
でいいやろ」
私は、歩いて説明された場所まで行った。夏が終わりかけていた頃
かな、外は肌寒く感じたような記憶がある。
ココロの新しいマンションは田舎者の私にとっては、すごく治安の
悪そうなところにあった。目の前に公園はあるがあとは見渡す限り
周りにはラブホテルが 並んでいる。
玄関を開けてもらい中に入った私の第一声は
「何でこんなところにしたと?危ないよ。夜とかどうするん?周りホテル
とかやったら変な人おりそうじゃん」
「だってなー仕事場近いし、実家近いし、駅も近いからなぁー。しかも車、
前の道路に路駐出来るし。なんせ有線ついてんねん。この部屋!」
ココロと仲良くなったのも音楽の話からだった。私もココロも音楽がとても
好きで、話をしなくとも二人で時間を忘れて音楽に耳を傾けていた。
「有線??本当?音楽何でも聞けるやん。しかもめちゃ広いなあー。
こんなんやったら私もここに決めるわー」
「やろー荷物は明日から少しづつ運ぶわー。あんたも手伝いや。もう電気
通ってるから有線かけたるわ!田舎モンはビートルズ好きやったな!
ビートルズ専用のチャンネルあるねん。」
3時間くらいだっただろうか、肩からさげていた私のバックを枕にして
何もない部屋に横になってビートルズの歌を二人で歌い、他のジャンル
の話をしたり、恋の話をしたりした。
「なぁこの窓何向きになるん?めっちゃ太陽の光入ってきてるよ。」
なにげなく私が聞いた。
「西日やろ。だから西やろ」
窓を開けた。ビルがひしめきあってる中にとてつもなく大きな夕日があった。
「ココロ見て。夕日よ。めちゃでかい!ちょう綺麗!」
「ほんまや、バリ綺麗やって。久しぶりに見たわ。すごいな。」
帰りに二人で家を出て、変な疑問を考えていた。
「夕日ってやっぱりずっと当たってたら肌やけるんかなー?」
「あー分からん。昼間とは違って全然色ちがうしねー。ちょうオレンジ色だから、
焼けんと思うよー」
「でも、寒くなった気せーへん?寒いの嫌や」
「ほんと大阪寒い!宮崎はまだ暖かいよ。たぶん」
 あれから6,7年が経ち宮崎ではなく福岡に来た私は、季節の変わりめには
ふとこのことを思い出す。
でっかい夕日も冷たい風も毎年変わらない。
隣に瞳(ココロ)はいないけど、夕日を見れば、
また瞳の思い出に助けられる私が居た。



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