| hitomi's poetry |
| 想い出綴り−45 運転免許証 |
| cici | |
| 瞳の遺品の一つに運転免許証がある。 時々、引き出しの中から取り出しては遠い昔を懐かしむ。 瞳は私の血を引き継いだのか、とてもクルマが好きだった。 16歳になって直ぐに二輪の免許を取得して颯爽と原付を乗り回していた。 新品のバイクを買ってあげた3日目に、駅前に置いて盗まれたので叱った事があった。 バイト先の用事で銀行に行った時、バイクに乗ったまま歩道を走り警察に捕まり身元を引受けに行った事もあった。 18歳になると普通四輪の免許証を早く取りたいと言い、誕生日の1か月前から教習所に通い始めた。 仮免の試験は18歳の誕生日にならないと受けられないので、その日に受けられる様に照準を合わせていた。 教習所での練習以外に、自宅近くの駐車場で私の指導の下、バックや縦列駐車や車庫入れの練習をした事もあった。 瞳の友達がてこずっていた卒業検定は1回で合格。免許の講習を受けてから2か月くらいで免許を取得した。 学校の成績はそんなに良くなかった瞳だが、やれば出来る子だと見直した。 最初に買った車は、ブツケても気にならない車がイイと、女の子には似合わない中古の軽の箱バンを買ったのには驚いた。 煙草を片手にスイスイとハンドルをさばいていたが、助手席に座ったときは生きた心地がしなかった。 PLの花火を見に行く途中の渋滞で車をブツケたとか、深夜に交差点でタクシーと追突したとの電話があった。 あの時私は仕事中で、事故の立合いに行けず力になれなかったのが今でも悔やまれる。 最後に乗っていたのがニッサンのラシーン。四輪駆動のRVながら高さを抑えたカジュアルなスタイルだった。 最近は少なくなってあまり見かけないが、街の中でラシーンを見かけると往時の瞳が目に浮かぶ。 運転免許証…このちっぽけな一枚のカードには、数多くの思い出が詰まっている。 |
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