hitomi's poetry
想い出綴り−46 従姉(イトコ)
cici
 瞳は16人いるいとこ同士の中では最年少で女の子、だからみんなに可愛いがられていた。
 その中でも年が一番近い3人姉妹の従姉とは気が合っていたが、家が大阪なので度々会えなかった。
 だから瞳が子供の頃は、毎年夏休みになると、その3人姉妹がいる私の兄宅へ預けた。
 瞳は自宅では1人なので淋しいから、妹のように可愛がってくれる3人姉妹宅へ行くのをいつも楽しみにしていた。
 私は自営業で忙しくしていたので、瞳をあちこち連れて行き夏休みの思い出を作ってくれていた兄の家族には感謝しきりだった。
 幼い頃、一緒に花嫁さんに憧れていた従姉の結婚式に出席した時、瞳は羨望の眼差しで華やかな花嫁姿の新婦を見ていた。
 そして「私も早くイイ人を見つけて結婚したいな」と、目を輝かせて夢を語っていたのを思い出す。
 それから数年後の25歳の時に、瞳は夢を叶えること無く淋しくこの世を去ってしまった。
 今では多くの瞳のいとこは結婚をして子供もいる。その子たちを見るたびに瞳のことを思い巡らせる。
 孫を抱くことが出来ない私は、去りゆく秋の空を眺めながらちょっぴりセンチになる今日この頃である。


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