ビールをおいしく飲もう
まず、何日もおいておかない事。長く置くには、冷暗所に保存
する事が必要だが、これにも限度がある。最近、瓶入りの生ビ
ールなるものが出回っているが、これにはラベルに、作られた
日付が表示されている。
なるべくゆすらない事、これは生ビールの場合も同じ。ビール
通を自称する人で、「吾妻橋ぎわの朝日ビール会社のビヤホ
ールで飲むのが一番うまい」という人をたまに見かけるが、製
造工場の隣のビヤホールだから、あまりゆさぶられていないビ
ールを飲める、という事を極端に誇張していっている事。
泡が大切だ。注がれる時にグラスを傾けるのは邪道、みすみ
す泡のたつのを邪魔するわけだから(ビールの味に欠かせな
いガスの散逸を泡が防ぐわけ。戦後、銀座4丁目のビアホー
ル『ライオン』で、ビールをジョッキに注いでくれるおじさんが、
丁度いい加減に泡を立てて、その泡を木製のナイフで器用に
パッパッと飛ばせてくれたのはとてもイキだった。
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ビールの適温は夏7〜8℃、冬9〜10℃
ビールをおいしく飲むには冷やしすぎは禁物。冷やしすぎると
泡立ちが悪くなって、微妙な味が舌に伝わらず、せっかくのビ
ールも形無しです。冷蔵庫で冷やす時は5〜6時間がよいで
しょう。夏なら摂氏7〜8℃、冬なら9〜10℃位が
適当。暖かすぎたら泡が立ちすぎるからこれもダメ。泡は全体
の5分の1位が適量か。栓の上をコンコンと叩いてから抜くの
は何の意味もない。
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ビールは泡が全体の2割位ならOK
ビールは注ぎ方と飲み方次第で、おいしくもまずくもなる、とい
われています。
まず、上手な注ぎ方は、グラスをまっすぐに立て、ビンの口を10
pぐらい離して、ゆっくりと注ぎ始めます。次第に勢いよく注い
でいき、きれいに泡が出始めたら、泡を持ち上げる様な感じで
静かに満たします。
このリズムで、泡が全体の2割位が理想で、クリーミーな泡立
ちになれば、ひと味違う事請け合いです。
ビールの香りには約200種の成分が含まれており、そのうち炭
酸ガス、イソフムロン(苦味)、エステル化合物(香り)、たんぱ
く質などがうまさの素なのですが、炭酸ガスがビール独特の清
涼感を生み出します。
泡はフタの代わりをし、炭酸ガスが洩れるのを防ぎます。 |
注ぎ足しは禁物
泡が大切だから注ぎ足しもダメ。グラスの中のビールと、新しい
ビールには温度差がある上に、あとから注ぐフレッシュなビー
ルを、前のビールと混ぜる事になりかねません。
実際に注ぎ足した場合は、泡立ちも悪く、その過程でフレーバ
ーを逃してしまう事にもなります。
また、グラスに油分があると、キメ細かい泡が立たないので、
清潔に洗浄したグラスを自然乾燥させたものがベストです。
グラスの内側は、なめらかであること。汚れがあるものは泡立
ちが悪くなります。
これらの点に注意すれば、いつでもおいしいビールが、楽しめ
ます。 |
ビールをまずくする条件は
ビールにも飲み頃があって、新しいものほどおいしく、製造後
2ヶ月までが目安です。
ただし、これは冷暗所に静かに保管した場合で、高温、直射
日光、振動や衝撃などの悪条件にあうと、ビールの味が変わ
ってしまいます。飲みきれなかった時には、料理や漬物に使う
ほか、草木の肥料にも利用できます。 |
ビール瓶はなぜ茶色?
ビール瓶はどうして茶色なのか、知っていますか?それは、日
光を通さないようにするため。日光が含む紫外線を浴びると、ビ
ールは “日光臭”と呼ばれる独特の臭みを帯びます。干した布
団のような匂いです。構成物質のバランスが崩れてしまう訳で
すから、味も苦味を増してしまいます。そこでビール瓶には、紫
外線を通しにくいカーボンが多く使われています。それでも完全
にシャットアウトする事はできませんから、日なたに置く事は厳
禁なのです。
ビールは江戸時代に、オランダ人によって日本にもたらされまし
た。初めて記録に登場するのは、享保9年(1724)の医師/杉田
玄白と建部清庵の往復書簡集『和蘭おらんだ問答』ですが、“麦
酒給見たべみ候処、殊の外亜敷あしき物にて、何の味わいも無御
座候。名をびいると申候”と、こきおろされています。
明治の初めには、薬草が含まれていたため、薬局で売られた
事もありました。まだ王冠もなく、ワインと同じようなコルク栓が
使われていました。 |
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