「風と共に去りぬ」
 GONE WITH THE WIND
  ―――――――――― 1939年 
監督:ビクター・フレミング
出演:クラーク・ゲーブル/
   ビビアン・リー/
   オリビア・デ・ハビランド/
   レスリー・ハワード/
   ハティ・マクダニエル
M・ミッチェル女史のミリオンセラーを壮大なスケールで映画化した超大作。時は南北戦争前後、舞台はジョージア州アトランタ。勝気で行動力あふれるスカーレット・オハラと力強く野性的なレット・バトラー。二人の愛の行方を軸に、戦争から再建の波乱万丈の時代を描いた大河ロマン。新しい女性像を体現するスカーレット役には難航を極めた末に、名優ローレンス・オリビエを訪ねていた無名の新人、ビビアン・リーに決定。彼女のみずみずしい演技は、いまも時代を超えた共感を呼び続けています。途方もない額の製作費、3年間にもおよぶ製作期間、戦前作品とは思えないテクニカラーの鮮やかさ、名優たちのしのぎを削る競演、アトランタ市を再現した壮大なセット…。いわずと知れたハリウッド映画史上に燦然と輝く不朽の名作で、作品賞をはじめアカデミー賞9部門を受賞。この記録は59年製作の『ベン・ハー』まで、実に20年間も破られませんでした。
「駅馬車」
 STAGECOACH
  ―――――――――― 1939年 
監督:ジョン・フォード
出演:ジョン・ウェイン/
   トーマス・ミッチェル/
   クレア・トレバー
駅馬車という限定されたシチュエーションに多くの人間を登場させ、彼等の人生模様を見事に描いたフォード監督の名作。1885年、アリゾナからニューメキシコへと走る駅馬車。乗客は、父と兄の復讐を誓う脱獄囚リンゴ、彼を監視する保安官ら、いわくありげな9人。乗客のエピソードを多彩に盛り込みながら、彼等のふれあいを鮮やかな手際で活写。最初の駅で、護衛の騎兵隊が砦へ引き返すや、アパッチ族の大群に襲撃されるが、キッドの活躍で危機を回避する。そして、キッドと三人のガンマンが繰り広げるクライマックスへと、躍動感あふれるアクションと息をもつかせないスピード感で、一気になだれ込んでいきます。当時、B級スターとして長いスランプに陥っていたジョン・ウェインは、この一作で見事に開眼。後に“西部劇の巨人"と謳われるように。ウエスタン映画の流れを一変させ、アクション映画の原点となった名作といわれています。
「カサブランカ」
 CASABLANCA
  ―――――――――― 1942年 
監督:マイケル・カーチス
出演:ハンフリー・ボガート/
   イングリット・バーグマン

1940年、仏領モロッコの首都カサブランカは、戦乱のヨーロッパを逃れて、自由の国アメリカへの亡命を企てる人々の中継地として知られていた。この地で酒場を経営するリックのもとに、反ナチ活動家のラズロとかつての恋人で、いまはラズロの妻となったイルザが訪れる。再会した二人は昔の愛情が蘇るのを感じるが、リックは私情を殺して二人の脱出計画に協力、ラズロ夫妻の行方を執拗に追うゲシュタポを射殺する。リックが見守るなか夫妻を乗せた飛行機は飛び立った。『君の瞳に乾杯!』や『「昨夜はどこにいたの? 」「そんな昔のことは憶えていないね」…』など、洒落た会話がこれでもかと続くクラシックの名画。カフェ・アメリカンで流れるリックとイルザの思い出の曲、『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』は、いまや名曲中の名曲。戦時下の混乱の中、結末が決まらぬまま行われた撮影では、なんと二通りのラストシーンが用意されたといいます。
「雨に唄えば」
 SINGIN'IN THE RAIN
  ―――――――――― 1952年 
監督:ジーン・ケリー/
   スタンリー・ドーネン
出演:ジーン・ケリー/
   デビー・レイノルズ/
   ドナルド・オコナー/
   ジーン・ヘイゲン
映画がサイトントからトーキーへと移行しつつあった過渡期のハリウッド。大スターのドンとリーナは、つぎつぎとヒット作に出演し黄金期を誇っていた。ふたりが新作の撮影にかかって間もなく、トーキー映画『ジャズシンガー』が完成、脚光を浴びる。そこで彼等の映画も急きょ路線を変更、トーキーで撮影することになる。しかし、リーナのとんでもない悪声ではトーキーには耐えられない。一計を案じたドンは、リーナの吹き替えとしてコーラス・ガールのキャシーを起用することを思いつく。こうして彼等の新作は大成功を収める。主役と監督を兼務したジーン・ケリーは、ボードビルからモダン・バレーにいたるまで、多彩なスタイルのダンスを採用。ミュージカルのエッセンスを随所にちりばめた傑作といえるでしょう。なかでもケリーが土砂降りの中、キャシーへの愛を歌いながら踊るシーンは秀逸。名場面として、多くの人の記憶に刻まれています。
「シェーン」
 SHANE
  ―――――――――― 1953年 
監督:ジョージ・スティーブンス
出演:アラン・ラッド/
   バン・ヘフリン/
   ジーン・アーサー/
   ブランドン・デ・ウィルデ

1890年、ワイオミングの開拓地では、土地をめぐって開拓者と牧畜業者との間で対立が続いていた。放浪のガンマン、シェーンは開拓農民のジョー一家の世話になり、彼等の味方につくことに。酒場で子分を徹底的に叩きのめされた牧場主ライカーはシェーンに復讐するために、不気味な殺し屋を雇う。シェーンは彼等との決着をつけるためにひとり決闘に向かう。“0.6秒" といわれた神業クラスのガンファイトで、殺し屋、ライカーらを倒したシェーンは、ジョーイ少年の「シェーン・カムバック!」の呼び声を背に、いずこへともなく去って行く。伝統的な西部劇のスタイルを踏襲しながらも、開拓者の生活の細かな描写や、少年の視点を通してヒーローを捉える手法など、独創的な演出で冴えをみせるスティーブンス監督。ビクター・ヤング作曲の主題曲『遥かなる山の呼び声』もワイオミングの大自然の雄大さを引き立てる、西部劇史上に残る名作です。
「ローマの休日」
 ROMAN HOLIDAY
  ―――――――――― 1953年 
監督:ウィリアム・ワイラー
出演:オードリー・ヘプバーン/
   グレゴリー・ペック
身分の違う者同士の許されぬ恋を、甘く切なく描き、上品
に仕上げたラブ・コメディの傑作。ヨーロッパ各国を旅行中の某国の王女、アンは最終目的地ローマを訪れる。多忙な毎日にうんざり気味の彼女は、侍従の目を盗んで、夜のローマへひとりお忍び。ふとしたことから知り合った新聞記者のジョーと、恋人同士のようにローマの観光地を巡る。
最初は特ダネ記事をモノにしようと打算的だったジョーも、
しだいにアンに惹かれ始め、結局記事にすることを諦め、彼女を大使館へ送り届ける。後日、行なわれた記者会見で、
二人は無言のうちに視線を交わして別れを告げる。スリム
で中性的、妖精を思わせるヘプバーンの登場は、グラマー
という言葉を過去のものにしたとも言われています。また
本作から60年代にかけて彼女が主演した映画は、一作ご
とにファッションも注目され、この作品からは愛らしいショート・ヘア、ヘプバーン・カットが大流行しています。
「裏窓」
 REAR WINDOW
  ―――――――――― 1954年  
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ジェームズ・スチュアート/
    グレース・ケリー/
    セルマ・リッター/
    レイモンド・バー

ニューヨーク、グリニッチ・ビレッジ。中庭を囲んで立つ4 棟のアパート。足を骨折して自宅療養中のカメラマン、ジェフは退屈をまぎらわせるために、望遠レンズで向かいのアパートをのぞき始める。その一室に住むサラリーマンの挙動に不審を感じた彼は、監視の結果、サラリーマンがの妻を殺したことを確信。旧知の警部に知らせるが、まったく相手にされない。しかたなく恋人と看護婦に、事件を解明するための手助けを頼み、殺人事件へと巻き込まれていく。水曜日から土曜日までの短い時間での出来事を、アパートの一室とそこからの眺めだけでスリリングに構成。アクションではなく、心理描写によって緊張感を高めていくヒッチコックの演出は心憎いほど。向かいのアパートで繰り広げられる各部屋のドラマは、秒単位のカメラワークに合わせた緻密な演技設計によるもので、こんなところにも、ヒッチコック監督の完璧主義者ぶりが現れています。
「麗しのサブリナ」
 SABRINA
  ―――――――――― 1954年 
監督:ビリー・ワイルダー
出演:オードリー・ヘプバーン/
   ハンフリー・ボガート/
   ウィリアム・ホールデン

『ローマの休日』に続いて製作された、ヘプバーン主演第二作目のロマンティック・コメディ。大富豪ララビー家の運転手の娘サブリナは、ララビー家の次男デビットに失恋し、パリへと旅立つ。二年後、彼女は流行のパリ・スタイルを身にまとって帰国。すっかり洗練されたサブリナに、デビットばかりか、長男のライナスもたちまち魅了される。そこで兄の気持ちを察したデビットは、一計を案じるが…。『ローマの休日』では高貴な王女を演じたヘプバーンが、本作では一転して野暮ったく人の目を引かない庶民の娘に。と思いきや、フランスはパリでファッショナブルなレディに大変身。意中の人を射止めるという、現代版シンデレラ・ストーリーともいえる設定が大受け。アカデミー衣裳デザイン賞を受賞した華麗なコスチュームも一見の価値あり。ヘプバーンとホールデン。ともに、前年のアカデミー主演女優、男優賞を受賞した二人の顔合わせも話題となりました。
「エデンの東」
 EAST OF EDEN
  ―――――――――― 1955年 
監督:エリア・カザン
出演:ジェームズ・ディーン/
   ジュリー・ハリス/
   レイモンド・マッセー
原作は旧約聖書のカインとアベルの物語に原典をとった、文豪スタインベックの力作。気難し屋で乱暴者のキャルと誠実で模範的な兄アロンは、父アダムでさえ同じ兄弟かと思うほどに対象的な存在。当然のように父はアロンをし、キャルには冷たい態度をとっていた。孤立感にさいなまれたキャルは、彼を生むとすぐに家を棄てていた母のもとを訪ねる。賭博場兼バーの女主人となっていた母に会っ彼は、そのことを秘密にする。翌日から父の愛を勝ち得るためのキャルの奮闘が始まる。レタスの新しい冷凍法を考案したアダムは、鉄道で大量のレタスを輸送しようとするが、雪崩のために列車が通行不能に。意気消沈する父。さらに懸命になるキャル。深まる兄弟の対立。キャルの唯一の理解者である兄の恋人アブラは…。衝撃的な死から40年を経たいまも、永遠の青年として記憶されるジミー。その彼の分身とさえ呼ばれるキャルもまた心に深く残る存在です
「七年目の浮気」
 THE SEVEN YEAR ITCH
  ―――――――――― 1955年製作
監督:ビリー・ワイルダー
出演:トム・イーウェル/
    マリリン・モンロー

ニューヨークの出版社に勤めるリチャードは、妻子を避暑に送り出すとたちまち解放感にひたるが、根っからの小心者の彼は、職場では真面目に働き、禁酒・禁煙はもちろん、日頃の生活習慣を頑に守る。しかしアパートに帰り、夏の間だけ2 階の住人となる美人と知りあうや、さっそく彼女を部屋に誘う。はずみでキスをした彼は、あわてて彼女を追い返し、一晩中スキャンダルの妄想に悩まされる。翌日、出社した彼は、浮気の大半は結婚後七年目に起こるという『七年目のかゆみ』説を知り、再び彼女を部屋に招く。自分の部屋が蒸し暑くて眠れないとこぼす彼女を部屋に泊め、自分はソファで眠る。翌朝はそのことが妻に発覚して射殺される想像、友人と妻が浮気しているという疑惑に苛まれ、会社で休暇を取るや、妻子のいる避暑地へ向かう。地下鉄の風でモンローのスカートがまくれる有名なシーンは、夫ディマジオとの不仲の一因になったともいわれています。
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