シャボン玉
頬ふくらませストローを吹けば
微かに甘い香り漂わせ
キラキラさせて夢運ぶ
透き通った虹色の球を
追っかけては燥ぐ幼い子供の
元気な声が公園に響く
喜ぶ顔に幸せ感じ
一緒に歌った「シャボン玉」
大きな声が天まで届いた
♪シャボン玉飛んだ 屋根まで飛んだ
屋根まで飛んで こわれて消えた
春の野原に鳥のさえずり
うららかな空に煌めく球が
ひとつふたつ風に舞う
舞っては消える泡沫の夢
触れると壊れる幻の泡
儚く消えた君と重なる
華奢で繊細 無垢な愛娘
亡き娘を詠う「シャボン玉」
哀しむ親の雨情と重なる
♪シャボン玉消えた 飛ばずに消えた
産まれてすぐに こわれて消えた
思いを込めてストローを吹けば
蒼天に時を預けし球は
フワリフワリと靡いてる
まろき画面に映る俤
憂いを帯びた顔が切なくて
嫋やかな君に吸い込まれそう
募る思いをたくさん詰め込み
天国の娘に届け「シャボン玉」
はじける刹那に願いを掛ける
♪風、風、吹くな シャボン玉飛ばそ
※泡沫(ウタカタ)=はかなく消えやすいもののたとえ
※雨情(野口雨情)=童謡「シャボン玉」の作詞家
「シャボン玉」は幼くして亡くした娘への鎮魂歌という説だある。
※蒼天(ソウテン)=青空。大空。蒼空。春の空。
※靡く(ナビク)=風や水の勢いに従って横にゆらめくように動く。
※まろき=丸い(この詞ではシャボン玉)
※俤(オモカゲ)=記憶に残っている顔や姿。
※嫋(タオ)やか=姿・形・動作がしなやかで優しいさま。
※刹那(セツナ)=きわめて短い時間。瞬間。念。
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