●慕嬢詩『母の日』

やわらかな陽が差し込む朝
何気ないはずの一日が
静かに、特別へと変わっていく
小さな手に抱えられていた
赤いカーネーションの
「母への愛」という花言葉
その意味を、今の君は
どこまで知っているのだろう
知らなくてもいい
想いは、もう十分すぎるほど
まっすぐに届いている
少しいびつな形の手作りクッキー
世界にひとつだけのかたちで
焦げた匂いさえ愛おしくて
君が過ごした時間のすべてが
ここに焼きついている
添えられた小さなカード
「いつもありがとう
ママ、大好きだよ」
その一行に込められた想いが
部屋の空気を震わせて
時をゆっくりとほどいていく
妻は目頭を熱くし
私はただ、静かに頷いていた
あの日、抱き上げた小さな命が
こんなにも確かな想いを
届けるようになるなんて
あの日の小さな手は
今、誰かを想い
誰かをあたためる手になった
光に満ちたこのひとときは
何気ない一日でありながら
かけがえのない記憶になる
穏やかな日差しの中で
“母の日”は、
愛が形になって
静かにあふれ出す
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