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ついこの前に新年を迎えたかと思っていたら、もう六月。時が経つのは本当に早いもので、気がつけば一年の折り返し点に差しかかっている。
こうして歳月が過ぎていくのを肌に触れるたび、「年をとると時間が早く過ぎるように感じる」という言葉が身にしみ込む。
若い頃は一年が長く思えた。夏休みは十分すぎるぐらいにあったと思ったし、誕生日やお正月が待ち遠しかった。
けれど今は、一年があっという間に通り過ぎてしまう。まるで朝の光が差し込んだかと思えば、夕暮れになっていたかのように。
私はこの5月に喜寿を迎えた。人生の折り返し点など、とうの昔に通り過ぎている。それどころか、もう終着駅がうっすらと見えてきているような気さえする。
老いることに不安がないわけではない。身体は確実に衰え、出来ることが減っていく。記憶も曖昧になり、昨日のことよりも遠い昔の風景が鮮やかに蘇る。
けれど、だからこそ、今の一日一日が愛おしい。
人生の終わりについて考える時に、私は天国にいる娘のことを思い出す。娘が旅立ってからもう21年にもなるが、その不在は日常のあちこちに静かに息づいている。
ふとした瞬間に顔が浮かんでくることもあれば、何か美しいものを見ると「これを見せてあげたかった」、おいしいものを食べると「これを食べさせてあげたかった」と思うこともある。
天国でまた会えるのだろうか。そんなことを考えると、うれしいような、寂しいような、何とも言えない複雑な気持ちになる。再会が待ち遠しい気持ちもある。
でも、もう少しこの世でやるべきことがあるような気もする。残された時間の中で、誰かの記憶の中に温かく残る存在になれたらいいと願っている。
折り返し点を過ぎても、人生にはまだまだ生きる意義がある。
過去を抱きしめながら今という時間に心を寄せて生きていく。そして未来にささやかな光を灯せるように歩いていく。
そうすることで、遠く離れた娘にも、少しだけ近づけるような気がする…。
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※慕嬢詩(ボジョウシ)=亡くした娘を慕う気持を綴った詩・文。私の創作語。 #慕嬢詩 #折り返し点… #チャレン爺有 #スナックタイガース #有村正 |