慕嬢詩『おでん』
 こうも寒くなると温かい食べ物がほしくなる。特におでんは鍋の白濁したスープから優しい香りが立ち上り、それだけで体が温まりそうな気分になる。
 煮物料理や鍋料理にも分類される「おでん」は室町時代に味噌を塗った串刺し豆腐の「田楽」が発祥とされ、江戸時代から「煮込みおでん」に進化。
 それが現在に至り、加工品や野菜、コンニャクなど豊富な具材と、地域色豊かな出汁やタレが一緒に楽しまれるようになったとか。
 おでんの具には「コンニャク」「玉子」「練り物」「大根」「じゃがいも」などの定番から、関西では「牛すじ」「タコ」「ロールキャベツ」「くじら」などの変わり種が数多くある。
 私の一番好きな具は、しっかりと味が染み込んだ「大根」と「糸コン」。妻に尋ねると私と全く一緒だった。普段、話しはかみ合う事は少ないが、おでんでは完全に一致した。
 因みに娘の好きな具は「たまご」と「もち巾着」だったが、他にも好きな具を鍋から取り皿に取り、フーフー冷ましながら食べる笑顔が愛おしかった。
 年頃になってからはダイエットの為にと「コンニャク」や「しらたき」をせっせと口に運んでいたが、食べ過ぎによる体調への悪影響を心配し、他の具も食べるように言ったことがあった。
 娘の喜ぶ顔を見ながら温かいおでんを囲んで会話を楽しむ光景は、和やかであり、ほんのりとした幸福感に包まれていた。

※慕嬢詩(ボジョウシ)=亡くした娘を慕う気持を綴った詩・文。私の創作語。
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