慕嬢詩 『お餅つき』

 13日のテレビで、滋賀県の『ひこにゃん』が正月用の餅つきを手伝っているニュースが流れた。
 彦根城では毎年この時期に鏡餅用などの餅つきをしていて、つき上がるときな粉餅にして観光客に振る舞っている。
 それにしてもひこにゃんと餅つきは、おモチろい組み合わせだ。なぜ?白くて丸いモチモチ感が似ているからだ。
 私が子供の頃も大阪の実家では、毎年年末になると家の前で家族総出で餅つきをしていた。
 姉は餅米を蒸す役で、蒸しあがるとホカホカの餅米をそばで見ていた私に少しつまんでくれたがその味は格別だった。
 そして姉は真剣な面持ちになり、蒸しあがったお米を急いで臼(ウス)の中に放り込んだ。
 父と兄が交代で「よいしょ、よいしょ」と杵(キネ)をつき、母が手を真っ赤にしながら「ぺたん、ぺたん」と返す。
 つきたての餅は父親が鏡餅にして仏壇に飾り、後の出来立ての餅はみんなで丸めたり、餡(アン)をつめて大福にしたり。
、最後に蒸しあがった餅米に蒸したさつまいもを加えて芋をつぶすようにつき混ぜて「ねったぼ」を作った。
 「ねったぼ」とは、餡やきな粉をまぶして食べる鹿児島県や宮崎県の郷土料理で、鹿児島出身の父はおやつに作ってくれた。
 父の高齢化で我が家の年末行事は終わったが、湯気と共に広がるご飯の香りやつき立ての餅の美味しさをテレビで思い出した。
 この楽しかった雰囲気と美味しいつき立ての餅やねったぼを、娘に味わわせたかったとふと思った。
※慕嬢詩(ボジョウシ)=亡くした娘を慕う気持を綴った詩・文。私の創作語。
#慕嬢詩 #お餅つき #チャレン爺有村 #有村正



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