慕嬢詩 『人生朝露の如し』
|
||||
|
||||
|
朝の空気が、肌を突き刺し 朝の露が、草花に降り白く光る 知らぬ間に気づかぬ間に、時節は冬隣 ゆく秋に、ちょっぴりセンチな黄昏(タソガレ)時 妻と歩いた公園のメタセコイアの並木道 何も喋らずに、足元の落ち葉を踏み サクサクサクと、乾いた音をたてた 濃い橙色に染まったトンネルに 冷たい風が通り抜け、木の葉を巻き上げて 大空に高く舞い、遠くへ飛び去った その彼方にいる、あの子に届くかな… 同じ思いの妻と顔を見合わせて 夢を果たせぬままこの世を去った 若かれし頃の娘に思いをはせた 「瞳の人生は朝露のごとしやったね」 「そうね」と妻は小さくうなずいた |
※人生朝露(ちょうろ)のごとし=朝日が出ればすぐに消えてしまう朝露のように、人生ははかなくて短いものだということ。 ※冬隣(ふゆどなり)=まわりの景色や雰囲気から、冬の近づいた気配が感じられる晩秋のころ。 ※メタセコイア=中国原産でヒノキ科メタセコイア属の落葉樹。和名はアケボノスギ、イチイヒノキ。自宅近辺では三宝公園に並木がある。 ※慕嬢詩(ボジョウシ)=亡くした娘を慕う気持を綴った詩・文。私の創作語。 #慕嬢詩 #人生朝露の如し #チャレン爺有村 #有村正 |
●back |
●hitomi-top |
●next |
|
||
MYホームページ 愛netコミュニティ |