hitomi's poem

hitomiの詩 part55  鯉のぼり



 自宅横の川沿いには大小色とりどりの鯉のぼりが、5月を駆け抜ける風に乗ってゆらゆらと
尻尾をくねらせながら泳いでいる。
 鯉のぼりが掲げられたのは8年前で娘の瞳が亡くなる少し前。「いっぺんにこんな沢山の
鯉のぼりを見たことないわ」と、初めて見た時に瞳が驚いてたのを思い出す。
 鯉のぼりといえば瞳が小さい頃に絵を描いた事があった。「黒いのんがお父さん鯉で赤い
のんがお母さん鯉、そしてピンクが瞳の鯉」と無邪気に話した言葉と「♪甍の波と雲の波〜」
の歌声が懐かしい。
 川面を彩る鯉のぼりは当初は数十匹だったが、市民からの提供で年々数が増えていき、
今では約230匹の鯉のぼりがはためくようになった。
 その下を観光客を乗せた観濠クルーズのボートが行き来して、人々の目を楽しませている。
 そして今年は「がんばれ!東北」「負けるな日本」などが書かれた鯉のぼりもお目見え、
東日本大震災の被災地に激励メッセージを送っている。
  
 川面をそよぐ風に乗り
 悠々とはためく鯉のぼり
 風が強い日は元気に泳ぎ
 風の無い日はメザシのよう

 緑の川と青い空
 はざ間で泳ぐ鯉のぼり
 色とりどりで華やかで
 道行く人を和ませる

 白い用紙にクレヨン画
 つたない君の鯉のぼり
 真鯉に緋鯉に子供の鯉
 思い出すたび笑みが漏れ

 明るい未来へ希望をつなぎ
 意気揚々と舞う鯉のぼり
 こどもの成長希(コイネガ)い
 がんばれ東北と、エールを送る
・・




一句:皐月晴れ 子供と眺めし 鯉のぼり
 謎かけ:鯉のぼりとかけて、英会話と解きます。どちらも(端午・単語)がつきものです 
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hitomiの詩 part56  すれ違い
街中(まちなか)ですれ違った若い女の子
君に似ていて、思わず振り向いた
どことなく哀愁を帯びた背中に引き込まれ
人ごみの中に消えるまで、ずっと目で追った


そういえば、あの時もすれ違いだった
それまで柔順だった君は、中二から自己主張が強まった
若い世代の価値観を受け入れず、昔からの教えが正しいと
娘の気持ちを理解してやれず、自分の考えを押し付けていた


君の部屋からドンドンと壁を打つ音が聞こえたことがあった
今思えば、抑えきれない気持ちを壁にぶつけていたんだ
頑固な父親と思春期の娘の心のすれ違い
その隙間を埋めることなく、君は25で逝ってしまった


ああ、それを思うと胸が痛んでならない
悔やんでも悔やみきれず、自分を責めてしまう
もう一度会ってやり直したい。でも、もう会えない
君を思うと、ジレンマに心が切なく揺れる

街中(まちなか)を歩けば、君への思いが断ちきれず
今日も君に似た若い女の子を探している
もし、見つけたとしても声をかけることはない
ただすれ違うだけでいい、君の面影に浸りたい



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