hitomi's poem
 hitomiの(うた) part1(看病の日々)


まだ夜も明けきらない 紺色の時

様子がおかしい瞳の寝姿に 救急車を呼び病院に運ぶ
寝台の周りで(あわ(ただしく 声が飛び交う治療室

事の重大さに 妻はうろたえ 私は青ざめる

即入院の あのせわしさから5日目で 昏睡(こんすい(から(よみがえ(

日ごとの病状良化を喜びとし 看病に通う
人工呼吸器の(くだ(が口をふさぎ 気持ちをうまく伝えられず もどかしそう

瞳は「かんにんな はよ、帰ってや」と申し分けなさそうに 云っているみたい

ぎこちない 目での意志の疎通(そつう(を図ってから9日後 また意識不明に

日に日に病状悪化 レントゲン写真を前に 説明を受ける

早く良くなってと見舞う人々の 不安げな顔

肩をさすってやったり髪をなでたり 握る手に力が入る


病院の中庭で 一羽の白いハトが 飛んでいた… 幸せのしるし?

見舞いの帰り 青く澄んだ空に 虹を見た… 天への誘導路?
希望と絶望の 期待と不安が 錯綜(さくそう(する
ベッドサイドモニターの 数値の変動に 一喜一憂(いっきいちゆう(の日々


仕事中 電話の呼び出し音が 鳴るたびに心が凍る

眠れぬ連夜 不安と恐怖におののきながら 朝を迎える

仕事柄 笑顔を見せなければならない  おどける数だけ 涙の量も増える

場が暗くなるので 瞳の事を 胸にしまっておかなければならない この辛さ


友達には 捜したいと云っていた妹との 21年ぶりの再会は

意識不明のままで 哀しい巡り会いになる 目を開けて欲しいと願ったが…
瞳の好きだったCDをかけ イヤホンを耳に((す 元気になれと…

細く長い指、何度も見つめ、握り締めた 瞳の奇跡を祈りながら…


神様は見放したのか 先生の死亡宣告の言葉 冷たくのしかかる

もう二度と瞳の姿が? 「瞳は25や!25やで!なんでやねん!」

私の心は狂いそう この苦しみで胸が張り裂けそうになる

我が人生 これで終わりと 失意のどん底に落ちた


※ベッドサイドモニター=心電図、呼吸、血圧など生体情報を測定・表示する医療器具








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