hitomi's poetry

想い出綴り−35 思い入れのギター
cici
私はギターを店と自宅のを合わせて4本持っている。
そのうちの1本は十数年前、独り暮らしをしていた瞳に「寂しい時に弾きや」とやったギターだ。
いつかは父娘でギター・デュオをしようと思っていたが、夢は実現する事なく瞳は図らずも私の前から消え去った。
そして瞳が住んでいたマンションを引き払う時、部屋の壁にポツンと立てかけていたのを見つけて自宅に持ち帰った。
その思い入れのあるギターを、時々ケースから取り出しては爪弾いた。
あの時、もっと手取り足取り教えてあげていたらよかった…
一緒にギター・デュオをしたら、どんなに楽しかった事か…
店の定休日に一人でカラオケをしていた瞳の歌声が聞こえてくる…
 
薄暗い乾いた部屋に響くギターの音色は、切なく胸に共鳴して様々な想いが脳裏に巡らせる。
作文・TOPへ戻る
















想い出綴り−36 お花見

 先日、読売テレビ・朝の情報番組『ZIP』に、お花見のシーズンに因んだ特別企画のコーナーで私が
スナック芸で出演した。
 そして、その放送でお花見会場の花見客の楽しそうな光景を目にしていると25年程前のお花見が
オーバーラップしてきた。
 桜が華々しく開花した日曜日の昼下がり、自宅からさほど遠くない大浜公園で開かれたお客さんが
主催のお花見に誘われて妻や娘の瞳も一緒に参加した。
 3月の末、その日は肌寒く瞳が私に寄り添ってきたので背中に私の上着をかけてやった。
 やや強い風が吹いてカセットコンロの炎は流され熱も流されて、脂がのったロース肉が焼けた頃に
は燻製の様に硬くなっていた。
 それでもみんなでワイワイガヤガヤと会話が弾むと肌寒さや肉の不味さは気にならなかった。
 そんな大人達に囲まれて瞳も楽しそうに網の上の食材に箸を運んでいた。さしずめウインナーが
好きだった。
 毎年、春になりお花見の光景を見ると25年前のお花見の宴の中にいた瞳が目に浮かぶ。



●back

●composition-top

●top-page

●next

MYホームページ 愛netコミュニティ