hitomi's poetry
想い出綴り−69 ボトル・キープ
cici
 真冬の雨の夜、店が暇なので退屈しのぎにカウンターのバック棚を整理していたら、奥からかなり古いボトルが5本出てきた。
 ボトルに書かれた名前を見ると、亡き娘の友人達が10年ほど前にキープをしたボトルだ。
 あの世へ送り出してから5、6年間は娘の友人達がよく店に来てくれ、娘の思い出話をしたり私たち夫婦に元気をくれたりしていた。
 年月が経つにつれてその来訪者は徐々に減ってきたが、今でも忘れそうになる頃に時々友人達が来店してくれている。
 その古いボトルを見ると来店当時がしのばれ、彼ら彼女らの顔と共に娘が目の前に蘇った。
 ボトルの名前と顔を一致させては会話の内容を思い出して、懐かしみに浸り胸を熱くさせた。
 もう、味が変わって美味しくないかもしれないが、心のアルバム用にこれからもずっと処分しないで置いておこう。




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