hitomi's poetry
想い出綴り−55 夕焼け

cici

 たまには健康の為に運動をしなければと、暑い日中を避けて日差しの穏やかな夕方に妻と散歩した。
 南国情緒あふれるフェニックス通り、西陽を浴びて煌(キラ)めくガラス張りの利晶の杜(モリ)、緑豊かなザビエル公園、のんびり走るチンチン電車…。
 見慣れた街並みを眺めながら、あれこれお喋りしてウォーキング。
 30分程歩いた帰り道、妻が「夕焼けがキレイやね」と呟いた。
 一日の幕引き際の沈む夕日は、いつ見ても感動を与えてくれる。
 瞳が小さい頃は、休みの日にはよく近くの公園へ行ったもんだ。
 そしてその帰り道、親子三人で夕焼けを見ながら手を繋いで“夕焼けこやけ”を歌いながら家路についた事もあった。
 ふり向けば、オレンジ色の夕日に照らされて出来た3つの影は長く伸びている。
 「背が伸びたなあ」「足が長いね」「どこまで、ついてくるんやろ」
 あの時のひとコマは、微笑ましくも幸せに感じたひと時だった。
 それはそうと瞳と公園で遊んだ若い頃は、1日中走り回っていたのに今は30分歩いただけで疲れる。
 老いを思い知らされると同時に、天国にいる瞳と再会する日が近づいてきたのかなと、ちょっぴりセンチメンタルになった。

※利晶の杜=堺生まれの千利休、与謝野晶子のもてなしや創作の原点を紹介したり茶の湯体験もできる施設
※そこはかとなく=特定できないが、全体的にそのような雰囲気をあらわす。とりとめもない。どうということはない。




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