焼酎には甲類と乙類がある
ひと口に焼酎といっても、蒸留法によって大きく2種類に分かれ
ています。さつまいも、麦、そば、とうもろこしなど原料となる穀
類を単式蒸留、つまり1回しか蒸留しないものを乙類、連続蒸
留、つまり何度も蒸留したものを甲類といいます。
原料の香りがほのかに残って「うーむ、うまい焼酎だなあ」とい
うのは、ほとんど乙類の方で、こちらを本格派と呼んでいます。
甲類の方は、焼酎独特の香りやくさみが、きれいさっぱり無く
なっていて、単体で味わうというより、酎ハイやカクテル向けの
焼酎といえます。焼酎ブームの火付け役は、この甲類の功績
といっていいでしょう。甲と乙の違いはラベルを見ればすぐわか
ります。
ところが面白い事に、最近では甲類と乙類をミックスしたり、乙
類から強すぎる個性をとったり、無個性の甲類に、乙類の様な
個性を加えたり…というクロスオーバー・タイプも焼酎メーカー
から製造されています。 |
焼酎のお湯割りは、米、イモ焼酎がうまい
乙類にこだわる人はお湯割り、と思っている人が予想以上に
多い様ですが、残念ながらハズレ。
お湯割りで飲んでうまいのは、米焼酎とイモ焼酎だけで、残り
のそばと、とうもろこし、ムギなどの焼酎は、お湯によって成分
がオーバーにいうと破壊されるため、本物のツウは絶対にお
湯で割りません。
割る場合は水。それも水を先に入れておいて、後から焼酎を
入れる方がうまい。しかし、一番うまいやり方は、オンザロック
に尽きるといっていいでしょう。
お湯で割っていいのは、米とイモですが、この割り方にはこだ
わりたいものです。俗にお湯6,焼酎4といいますが、焼酎ツ
ウの歌舞伎俳優・岩井半四郎さんなどは、7対3の方がうまい
といっています。つまり、その人に一番いい割り方がいいとい
えます。
日本酒センターの池田副館長によると「25度なら。12〜13度、
つまり5対5。35度なら6対4から7対3ぐらいが一番うまい」そ
うで、このあたりが目安でしょう。
焼酎を入れてお湯で割るより、先にお湯を入れておいて、後か
ら焼酎を入れた方がうまいというのは、ご存じでしょうか?さら
に、その後ねもう一度お湯を入れると、焼酎とお湯がよく馴染
んで、うまくなります。お湯の温度は55度くらい。これで飲む時
は45度前後になって、これが一番うまい温度となるのです。
極めつけは、あらかじめ水割りしておいて、直火でカンをする
方法。本格的な薩摩料理の店はこの方法をとっていますので、
カンどころを訊いておきたいものです。 |
外国産輸入焼酎「パリ野郎」で乾杯!
焼酎といえば日本だけの酒と考えられがちですが、実は外国
で生産されている、穀物類を原料に連続蒸留した36度未満の
純粋なスピリッツは、日本に輸入されると甲類焼酎として扱わ
れます。
フランス産の「パリ野郎」はさとう大根を原料とし、ほのかな甘
さと上品な香りが人気。とうもろこしを原料としたカナダの「カナ
ディアン・ロッキー」はスッキリした切れ味の鋭さが格別。ほか
に日本向けにアメリカでは「霧のサンフランシスコ」や「カメハメ
大王」、韓国の「真露」「秘仙」「宝海」「アリラン娘」「金福」、イ
タリアの「ローマの休日」、フランスの「噂のパリジェンヌ」など
があります。あちらではスピリッツ類に分類されますが、
日本では、焼酎としてかなり低い税金しかかからないうえ、原
料そのものが安いので輸入されています。 |
チューハイとは?
チューハイといえば焼酎を炭酸で割ったサワーを連想するが、
今では果汁、フレーバー(香料)、お茶などをミックスしたオシ
ャレな飲み物。一般的に焼酎やスピリッツなどの蒸留アルコー
ルを果汁や炭酸などで割ったもの。厳密な区分、規定はない。
酒税法上での分類では税率の低いリキュール類に入るものが
大部分を占める。
◆歴史:居酒屋を中心に庶民がつくり出したのがチュウハイ。
それを缶入りにして気軽に飲めるようにしたことから、若者層に
も需要が広がった。缶入りチュウハイが初めて商品として誕生
したのは83年1月。CANチューハイ(宝酒造)として売り出され、
缶チュウハイ市場が確立。居酒屋などにもバラエティー豊かな
チューハイメニューが登場し、女性の愛好者も増えた。
◆低価格:98年に350ml入り150円前後の低価格商品が相次
いで発売され、缶チュウハイの消費量が一気に拡大。現在は
140円前後のものが主流になっている。 |
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本格焼酎のいろいろ(原料別特徴)
★いも焼酎:原料となるいもの、蒸した時に出る甘い
香りが命です。ですから、畑から取りたての、いかに
新鮮で良質のいもを使うか否かで、酒質も決まるとい
われています。
いもの蒸しから仕込み、蒸留と、産地やメーカーにより
製造方法が違うため、軽快なものからどっしりとしたコ
クのある味のものまで色々あります。他の焼酎と同様
無色透明のものが大勢ですが、本場ではほんの少し
白く濁っている感じのいも焼酎が最高だという方も多い
ようです。
「いものおいしい香り」といっても、ちょっとわかりにくい
かと思いますが、お湯割りで飲むときのほのかに甘い
口当りと香りは、日本のやさしい思いやりの心、ふる里
への郷愁といったなんともいえぬ温かさで、飲む人の
身も心もつつみます。また、明治の創業からカメ仕込み
の方法で丁寧に手造りを続ける鹿児島の中村醸造は、
NHK鹿児島TVでも紹介されましたが、ここの手造りい
も焼酎「玉露」は飲んだ方を必ずや魅了する、いも焼酎
の逸品です。
尚、いも焼酎の主な産地は鹿児島県と宮崎県ですが、
東京都の八丈島、神津島、新島、三宅島、大島でも薩
摩伝来のいも焼酎が造られています。東京都がいも焼
酎の産地だなんて、ちょっと愉快ですね。
★そば焼酎:日本人が心のやすらぎを感じる「そば」を
主原料にして造るそば焼酎は、おもに、そばの産地であ
る宮崎県北部や長野県で造られているわけですが、そ
の原材料となるそばが現在日本では収穫量も少なく、
高価な穀物となっているため、そば焼酎の原料に使うそ
ばのほとんどは、カナダ、中国等からの輸入品によって
まかなわれているのが現状のようです。
そば自体の香りも素朴なもので、これをどのような風味を
もって焼酎に表現するかにメーカーは苦心しているようで
。日本人が「そば」に対して持つ「素朴」「淡白」「ほっとす
る日本の味」などのイメージが、「味がよさそう」「飲んて
みたい」と連想させ、好感を持たれている本格焼酎のひ
とつです。
★麦焼酎:本格焼酎のなかで、いも焼酎とならんで都会
人に圧倒的な人気のあるのが麦焼酎です。特徴はお湯
割りにした時などに麦こがしのような甘い香りが残り、口
あたりもマイルドですっきりした喉ごしにあるといえます。
そして、原材料の「麦」という言葉が何とも素朴で、その中
かにスコッチを連想させるムードもあって、ファンが定着し
たものと思われます。
現在、全国各地で造られる麦焼酎ですが、本場は長崎県
の「壱岐」の鳥が有名です。
長崎県でも屈指の米どころ、農業の島として有名な壱岐
では、江戸時代、米は年貢として納め、農民は麦を常食
にしていたといわれます。この食料用の麦のあまりを使っ
て農民が自家用の酒として造ったものがルーツと思われ
ます。
マイルドでしかもすっきりした切れ味の麦焼酎は、都会の
人々にも抵抗なく受け入れられるところとなり、焼酎ブー
ムの波にのって北九州各地をはじめ全国で造られるよう
になりました。
なかでも、九州博多の麦焼酎「天盃てんぱい」が、筑紫平野
の二条大麦を100%使い高度の蒸留技術をもって、活性炭
素や砂糖はもちろん使わずにマイルドで上品な切れ味のよ
い麦焼酎を造っていて感動ものです。 |
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