(音 楽)
(1)交響曲「エロイカ」のモデルは?
ベートーベン作曲の交響曲「エロイカ」のモチーフが、19世紀初頭のフランス皇帝ナポレオンにあった事はよく知られています。
しかし、ベートーベンが心に描いていたのは、皇帝になる前の、フランス人民の為に命を張っていた若き日の将軍=ナポレオンでした。
もともと曲名も「ナポレオン・ポナパルト」としていたくらいですから、その思い入れの程が分かります。
けれどもナポレオンは、一人の権力志向の強い人間にしか過ぎなかった…。彼の皇帝即位を知った彼はこうして自らの作品を改名しました。
やがて訪れるナポレオンの末路。芸術家のカンは恐ろしいものといわねばなりません。
(2)レコードのB面にスポット
今はCDが主流で、レコードはほとんど姿を消しましたが、レコードのプレスは表をメインの曲でA面、裏をサブの曲でB面としていました。
そんな
形式が主流の時、シンガー・ソンガー・ライターの吉田拓郎は「A面だけのシングル盤をを発売する」と発言していました。この言葉に代表されているように、レコードのB面はふだん忘れがちな存在です。
しかし、A面がヒットすれば、B面の作詞、作曲、歌手もA面と同じ印税が入ってくるのです。これは意外な儲けになります。
例えば三橋美智也がデビューして人気がうなぎ登りの頃、そのB面は照る菊という女性の歌がカップリングされていました。彼女の歌はそれほどヒットしなかったのですが、三橋の歌が次々にヒットした為、彼女も同じ売上げ数の印税をもらった訳です。
春日八郎も初めは岡晴夫のB面歌手で稼がせてもらっていました。
A面が売れなくてB面の方が逆にヒットしてしまうケースもあります。菅原洋一が世に出た『知りたくないの』もその一つ。はじめこの歌は岸洋子『恋心』のB面に組まれていましたが、発売3年目にB面がヒット、それからはA、B面を入れ替えて発売されたそうです。
千昌夫の『星影のワルツ』も最初はB面に収められていました曲です。また、五月みどりが『おひまなら来てよね』がB面ヒットの実例です。これは当時人気者だった神戸一郎の『瀬戸の恋唄』のB面で、お色気ムードがウケてB面が独走、A面は話題にもならなかったそうです。
印税の話のついでなのですが、レコード会社の印税はいまだに銭単位を使う唯一のものです。たった50銭の違いが、大ヒットした曲になると百万円単位の違いになります。