(体・健康)
(1)くしゃみの速度は時速…
 鼻やノドに異物を吸い込んだ時や、急に寒さを感じた時、人間はくしゃみをします。胸いっぱいに吸い込んでから、一気に吐き出す空気の量は、成人男子で約4g。女子で約3.5g。肺活量とほぼ同じです。この時の空気の速度は、なんと時速320キロといいます。現在、新幹線の最高速度が時速300キロですから、かなりの速さです。
 くしゃみは、哺乳類だけの生理現象といわれます。象やキリンもくしゃみをしますが、“速度”は人間とあまり変わらないそうです。
(2)髪の毛が縮れているのは?
 「髪はカラスのぬれ羽色」などといい、日本では昔からツヤツヤした長い黒髪は、美人の条件の一つでした。最近では、黒より茶髪のほうが格好いいなんて、ほとんどの若い女性は染めていますが、髪って単なる飾りなのでしょうか。
 いえ、違います。髪の毛は熱に弱い脳みそを直射日光から守る大切な働きをしているのです。毛髪の中心部には空気をたっぷり含んでいる髄質とよばれる部分があって、熱を遮断するのに都合よくできています。髪の質も色によって違いがありますが、人種によっても違います。黒人、黄色人種、白人のうちどれが一番効果が優れているのかというと、それは何といっても真っ黒い黒人の髪の毛です。その秘密は、あの縮れ毛にあります。縮れているので、毛と毛の間に空気がたっぷり含まれ、断熱効果が抜群というわけ。
 ところで、黒人と日本人の髪は同じ色なのに、なぜ一方が縮れ、もう一方がまっすぐなのかというと、毛の断面の形が全然違っているからなのです。縮れ毛ほど断面が平べったくなります。黒人の髪の断面は、縦と横の比がほぼ二対一になっています。ところが日本人の場合、完全な円に近いため、まっすぐになっているのです。黒人のアフロヘアーは、日射病予防に最適かも知れません。
(3)体の右と左はどう違う?
 体の
右半身と左半身で違うところ。まず体の重心。心臓と同じ左側です。重心を支える左足が、靴も減りやすいとか。歩幅も左足の方が狭いので、目を閉じて歩くと誰もが左へ円を描きます。“輪形彷徨”という習性です。この習性は、目を開けていても無意識に出るらしく、街の歓楽街は左側にあり、喫茶店の席も左側から埋まる傾向があるそうです。
 男性では睾丸。左が垂れている人が多いため、ズボンには左に若干の余裕が作られています。軍隊では、ご丁寧に「左に納めること」という規定がありました。子供を産んだ女性は左の乳房が大きくなります。赤ん坊は胎内で母親の心臓の鼓動を聞いて育つので、左の乳を飲ませると、鼓動を聞いて安心します。左ばかりのませるので大きくなるのです。
(4)夜は朝より2cm低い
 1日のうちに、身長が2cmも伸び縮みするなんて、信じられますか?人の身長は朝が一番高く、寝る前には低くなっているのです。伸び縮みの原因は背骨。背骨には、椎間板
ついかんばんという軟骨が、24個あります。背中を曲げたり、高いところから飛び降りた時のショックをやわらげる、クッションのようなもの。1日立って動き回るうちに、頭の重さを受けて縮んでしまうのです。24個の椎間板がそれぞれ少しずつ
縮み、合計すると2cmになるわけです。横になって寝れば、朝に戻っています。
 相撲取りになるには173cm以上の身長が必要ですが、元大関の大受173cmギリギリしかありませんでした。立って歩くと審査に通らないかもしれません。そこで彼は、はかりの前までリヤカーの上に横になって運んでもらいました。足の裏も、夕方には大きくなります。起きて6時間のうちに、面積が20%も広がるのです。
(5)血液型は300種類もあった
 血液には300種類もの分類法があり、理論上は約45億の人類全てが、違った血液型に分けられるといわれています。ABO式は、よく知られている、最も基本的な分類法です。赤血球の表面の凝集源という因子によって分類するのがABO方式です。この凝集源には2種類あり、一方の凝集源をもつ人をB型と呼びます。AやBは一種の記号にすぎない訳です。この両方をもつ人がAB型、どちらももっていない人がO型です。日本人は、A型が40%を占め、以下O型30%、B型20%、AB型10%といわれます。
 人間に血液型がある事がわかったのは1901年。オーストリアの病理学者ランドスタイナーがABO式を発見しました。これによって血液型不適合による輸血事故は減少し、輸血が発達するきっかけとなりました。現在では動物の血液型についての研究もすすめられ植物にも血液型に相当するものがある事もわかっています。
(6)家で寝てても船酔いするの?
 自宅で船酔い症状を訴える住人が増えている、といったら驚きますか。京都大学の高田光雄先生らが、高層団地の住人308人を調査した結果、その事実が出てきたのです。
 ひどい揺れで気分が悪くなったと回答したのは、10階以上に住んでいる50人。22階以上では、40%が不快感を訴えています。「高層建築は耐震構造上、揺れるように造られている。高層住宅には高さに適応できる人が望ましい。」苦労して手に入れたマイホームで船酔いにあうんじゃたまりません。
一方、住宅の高層化は『高所平気症」なる珍妙な症状も生んでいます。どんなに高いところで遊んでいてもちっとも怖がらない子供が増え、それによる転落事故が目立ってきたとのこと。「ウチの子はエレベーターに乗るのを面倒がって、夏休みの間、一度も地上へ降りませんでした」と語るのは、20階のマンションに住む主婦。これほど不自然なセリフが平気になったら、怖いですね。
(7)ハゲに胃ガンはいない?
 「ハゲに胃ガンがいない」という説を統計的に証明した人がいます。久留米大学医学部の脇坂純一教授です。300人以上の胃ガン患者を調査したところ、ハゲ頭の人の割合は一般人より非常に少ない事がわかりました。
 頭がハゲるという現象は、ホルモンのアンバランスによって起こるものですが、胃ガンの原因についてもホルモンが注目されています。久留米大学では、胃ガン患者、ハゲ頭の人、健康人について各種ホルモンの測定を行い、胃ガン患者の大部分が女性ホルモンが多いのに対し、ハゲ頭の人は男性ホルモンが多い傾向にある事実をつきとめています。胃ガン患者に女性ホルモンが多いというデータは、若い人の胃ガンに女性が多く、特に出産後によく発病したり、卵巣に転移しやすい事実と一致するとの事です。しかしその後、ハゲ頭の原因は男性ホルモン過剰ではなく、肉の食べ過ぎにあるという説も出ています。
(8)ハゲ方と血液型の関係
 頭のハゲ方と血液型には密接な関係があるという話です。O型の人は、いったんハゲると徹底的にハゲてしまいます。A型は不徹底なハゲ型で、うぶ毛やすそ野の毛が残ります。B型は、毛が数本残るようなハゲ方をします。AB型には徹底的なハゲは少ないようです。
 逆にいえば、ハゲ頭を見てその人の血液型をある程度判断でき、さらに血液型によって性格まで知ることが出来るわけです。
(9)なぜ人は夢を見るのか
 夢はなぜ見るのでしょうか。ランテックス心理研究所の富田隆先生によると、睡眠は同じ眠りが続いているわけではありません。始めにノンレム睡眠といって、脳が休んでいる眠りに入ります。
 この眠りには4つの段階…@うとうとした入眠期、A浅い眠り、Bやや深い眠り、C熟睡…があり、これを経過したのち、レム睡眠に入ります。
このパターンを1日4〜5回(1回90分位)繰り返します。レム睡眠は、脳が働き、からだが休んでいる眠りで、急速眼球運動があると共に、自律神経系の機能が低下し身体の疲れをとります。この時、夢を見るといわれています。
 夢は日頃の欲望、葛藤などがストーリー化されたものを、記憶していることなのです
(10)髪の毛は何本ある?
 『ギネスブック』に載っている髪の長さ世界一はなんと7.53m。1949年、インドの僧院長によって作られた記録です。
 私達の髪は普通の人で平均10万本。ところが多い人では14万本、少ない人で」8万本とその差は6万本もあります。これが大体2年から6年の周期で生えかわっているのです。また髪の太さもそれぞれ違います。10万本の毛は毎日0.3mm〜0.35mm伸び続け、1ヶ月で1cmちょっと、単純に計算すると1年で約12cmも伸びる事になります。それに髪は夜よりも日中、しかも午前10〜12時の間に一番よく伸び、1年の中では春から夏にかけて(5〜6月ごろ)が最もよく伸びます。また年齢別だと、16歳から24歳までがピーク。65歳以上になると、伸び方もグッと少なくなります。
 また髪はぬらすと1.5倍も伸びます。そして健康な髪は1本で150〜200gの重さのものを持ち上げる力を持っています。試しにコーヒーカップの取っ手に髪を通してぶら下げてみましょう。ちゃんとぶら下がります。これで計算すると、10万本ある一人の人間の髪で15トンの重さを支えられる事になります。普通の自動車で10台、大型トラックなら2台、楽々引っ張れる勘定です。「黒髪、象をもつなぐ」といいますが、もしかしたら本当かもしれません。
(11)妊婦はペット禁止
 可愛いペットが病原体の宝庫だという事を知っている人は、意外に少ないものです。ペット・ショップで買ったから、大丈夫とか、予防注射をすればよいとか、いう程度の認識では困ります。犬やネコだけで40種類、牛や馬などを含めると200種類もの病気が知られています。
 まずレプトスピラ病。これは細菌性の病気で、人間がかかると発熱、頭痛、出血性黄だんなどがみられます。東京で捕まえられた野良犬の約20%がこの病原菌を持っていたそうです。また皮膚系状菌症も多い。一種のカビの為、タムシのように赤くふくれてかゆくなります。トキソプラズマ病は同名の原虫が原因で流産、奇形を引き起こすので、有名です。オウム病では死ぬ事もありますし、ハトのフンに多いカビが原因のクリプトコックス症は人間の脳や肺を侵します。
 細菌とか原虫はペットの大小便、だ液などに出てきて、放っておくとハエが伝えたり、空中に漂って空気を感染したりします。いくら可愛くて仕方のないペットでも、抱きしめたり、キスしたりするのはよくありません。一緒の食卓、食器などもってのほか。夜は必ず専用の場所に寝かせつけるようにしましょう。とくに妊娠中はペットに必要以上に接触しない事が肝心です。
(12)夢ばかり見て眠れない?
 誰しも「夢ばかり見てちっとも眠れなかった」といった経験があるものです。本当に眠っていなかったのでしょうか。
 睡眠には大きく分けて二種類あります。一つは眠りが深くなるにつれて脳波が遅くなる「ノンレム睡眠」。もう一つは力が抜けてダラリとした深い眠りにもかかわらず、脳波は浅い眠りに似ていて眼球が動き、呼吸が乱れる「レム睡眠」。前者を「脳の眠り」、後者を「身体の眠り」ともいいます。
レ ム睡眠は一晩に4、5回あって、全睡眠時間の2割位です。夢はこのレム睡眠の時に現れる現象で、夢を見ないという人は、ただそれを記憶していないだけです。その証拠には、レム睡眠の時に起こしてみると、7割から9割の人が夢を見ていたと答えるそうです。
 しかし、夢ばかり見て眠れなかったというのは、夢が不眠の原因なのではなく、不眠の結果、夢を覚えていた事になるのです。不眠の原因は精神的な緊張が主なものですが、なかには温度や湿度などの環境的原因、また寝具が不適当だったという、物理的原因もありますから、注意したいものです。
 寝る前の1、2杯の水割りはレム睡眠をやや減らし、5、6杯の酩酊状態では、レム睡眠は6割以上なくなるというデータもあります。夢ばかり見て眠れないと悩んでいる方は、試してみるのもいいでしょう。
(13)フグの毒は青酸カリの13倍
 「フグを食べるのは姦通する時の気持ちと同じ」と言った人がいます。どちらも命がけという事でしょう。
 フグの毒はテトロドキシンといわれるもので無味、無臭、無色です。しかし青酸カリの13倍という猛毒であり、0.5rで体重50kgの人間の致死量になるという恐ろしいものです。しかもこの毒は煮ても分解せず、酸にも強いという厄介なしろものです。さらに始末の悪い事に、同じ種類のフグでも毒の強さは1匹ずつ異なり、季節によっても変化するのです。「菜種フグは食べるな」というのも、菜の花が咲く頃は、ちょうどフグの産卵期にあたり、特に、卵巣に毒が多くなるからです。
 中毒の症状は、食後30分ほどして現われます。口のまわりや舌、指先がしびれてきます{第一期}。そのうち、手足が動かなくなり、声が出ない、呼吸困難、血圧の低下などが起きてきます{第二期}。症状が現われたら、すぐに吐かせて水を大量に飲ませます。胃の中を空っぽにして食塩重曹湯(100ccの湯に食塩小さじ2分の1杯、重曹小さじ4分の1杯)をコップに2、3杯飲ませ、救急車を待ちます。
(14)風邪によく効くツボ
 医学の進歩した今日でも風邪の流行を抑える事はできません。風邪といってもビールス性のものと、内臓を痛めたところからくるものがあります。
 風邪という言葉は『続日本紀』に「風病かぜのやまい」と出てきますから、奈良末期には使われていたようです。また平安時代の『三代実録』には、「咳逆しわぶき病」という名で出ています。
 さて、風邪に効くツボですが、背骨の3cmぐらい離れた両側にあります。ちょうど背の両肩甲骨けんこうこつの間の上のほうです。ツボの名を風門といいます。風の門ですから、風の出入りする場所という意味があります。呼吸法でいえば、息を出すところであり、体が疲れてくると、そこから風邪が入り込もうとスキを狙ってくるところなのです。
 風邪ひきそうになると、このツボあたりがゾクゾクとしてきますので、早速このあたりをほぐしてやると、背中が楽になり、呼吸がしやすくなってきます。
(15)血を出して平気なレスラー
 ガツーンと鉄柱に黒い巨体がぶつかる。倒れて起き上がったレスラーの額から鮮血が流れ落ちる、こんな光景をよくテレビで見ます。
 顔中血だらけ、よくあんなに血を出して大丈夫なものだと思います。血の出ないプロレスはつまりませんから、彼らも血を見せるのは営業の一つと考えているのでしょう。
 では、レスラーはどのくらいまで営業用の血を出せるのでしょうか。血液は体重1キロあたり、男は約80ml、女は約60mlあるといわれます。レスラーの体重を100キロとすると、約8gの血液を持っている勘定になります。そのうちの三分の一を失うと死ぬ事になります。つまり、約3gまでは営業用の血として使用可能なわけです。
 こう考えるとブッチャーがあの程度の血を流すのは何でもない事になります。プロレスファンは安心して「顔面血だらけ」を見る事にしましょう。
(16)運動不足は肉体をダメにする
 休日になると一日中ゴロゴロ寝てばかりしている人がいます。そして、あしたも休日ならばと思います。ずっと寝て暮らしたいと思うのは現代サラリーマンの夢の一つかもしれません。
 しかし、実際に寝て暮らしたらどうなるか。風邪などをひいて一週間も寝ていると外に出た時フラフラとした経験は誰しも持っている事でしょう。病院でも病人をベッドに縛り付ける事をせずに自分の事は自分でさせている様になっています。ベッドに寝ているとすべての機能が低下してくるからです。
 健康な人が2ヶ月ほど寝ていたとしたらどうなるでしょう。その実験をアメリカでした事がありますが、それによると筋力の低下が著しく、特に下肢のひらめ筋などは20%も減少してしまうという事です。これは筋肉の構成成分が尿から溶けて出てしまう事をあらわしています。 また、心臓の検査では20日間ほど寝ていると、たちまち小さくなっていき、トレーニングをしたら再び戻ったそうです。
 これをみると、運動不足というものが、いかに肉体をダメにするかわかります。筋肉を減少させ、内臓の機能を低下させてしまうからです。ある人の話によれば、1年間ほど寝たきりでいると、元に回復するには3〜4年はかかるといっています。こんなに極端ではないにしろ、私達現代人はとかく運動不足がち、なんとか機能回復の為の運動をしましょう。
(17)腰の弱い人にあぐらは禁物
 麻雀や勉強などをコタツなどでする時はどうしてもあぐらをかきます。また、近年では若者が正座をする事ができなくなって、あぐらをかくようになっています。タタミに座る事が少なくなっているせいかもしれません。
 背骨は椎間板ついかんばんという弾性体によって連結されています。この椎間板内圧を測定した山口義臣博士によると、いちばん内圧が低いのは寝ている時、次は直立の時、正座、椅子にかけている時、そして最後にあぐらがきます。つまりあぐらをかいていると椎間板に負担をかけるという事になります。
 その為か、若い人に椎間板ヘルニアや腰痛を訴える人が多くなっているといいます。だから、腰を痛めやすい人はあぐらを避けたいのですが、それができないとすれば、後は運動するよりほかはないでしょう。足腰を鍛える事により、腰痛は徐々に薄らいできます。