(商 品)
(1)“香料の王者”竜涎香も化学合成
香りは暮らしのアクセントです。化粧品はもちろんの事、食品、し好品、家具、バス、トイレ…すべて快適な生活を営む為、人工的な香りが作り出されています。
例えば“香料の王者”竜涎香りゅうぜんこう。これはマッコウクジラの腸内で病的に作られる香りの素ですが、商業捕鯨の禁止で極端な品不足となりました。
シャネルをはじめ最高級香水には欠かせぬ香料の為、1kg50〜60万円もします。だから業界では化学的に同じ香りを作り出し、いまでは代用品がまかり通っています。“必要は発明の母”という事です。
(2)歯ミガキ粉が蛤はまぐりだった?
歯を磨く習慣は大昔からあり、紀元前16世紀の古代エジプトの医学書に、歯磨き剤の作り方が記されています。紀元前5世紀頃のローマでは、二十日ネズミや野ウサギの頭部を焼いた骨粉で、歯を磨いていました。
日本では、江戸時代寛永の終わり頃(1643)、丁子屋喜左衛門という商人が、朝鮮人から製法を教えられ、歯磨き粉の製造が始まったと伝えられます。当時の歯磨き粉は、房州(今の千葉県)の砂に香料を混ぜたものが主でしたが、“黒い蛤の一方の貝に塩をつめ、もう一方に飯をつめて合わせ、よく焼いてからこなごなに砕いたもの”も用いたと、滝沢馬琴が『燕石襍えんせきざっし』に書いています。
一方歯ブラシは、柳の枝の先をつぶした楊子が起源。楊子を噛む習慣は古代インドに始まり、日本でも平安時代に始まりました。
現在の様な豚毛の歯ブラシは、大正3年、チューブ入り歯磨きは明治44年に、それぞれ売り出されました。
(3)折り畳み傘は日本産
折り畳み傘は誰が作ったの?傘業界紙「洋傘タイムズ」の話では「傘のフレーム会社の元祖、河野寅吉が明治時代に“引きしめ傘”というものを考案したらしい」。この“引きしめ傘”なるもの、柄とホネの部分を、自動車のアンテナの様にスライドさせて短くしてから布をおりたたむという仕組み。しかし、1本1本縮めるのに手間がかかる上、布が目のつんだ絹製で折りたたんでも結構かさばった為、あまり普及しなかった様です。「但し、この傘は、ヨーロッパから輸入して改良して作った、という説もあるので、寅吉オリジナルかどうかは疑問」とか。
その後、背を外側に折るモノなど、分かっているだけでも10数人の人が様々な機構の折りたたみ傘を考案したものの、普及には至らず。結局、残ったのが、昭和29年に(株)アイデアルの前社長村田啓一氏が発明し、特許を取ったスプリング式のモノだったという訳です。
(4)ほうろう製品の白い粉は心配ない?
やかん、鍋、風呂釜など、ほうろう製品は熱が冷めにくく、外観がきれいな為、愛用者が多い。ほうろう製品は鉄などの金属にガラス質のうわ薬をかけて焼き付けたものです。うわ薬の成分は、珪石けいせき、長石、粘土、蛍石ほたるいし、酸化錫すず、ソーダなどです。
ほうろう製品を使っていて、やかんや鍋などの内側がざらつき、白い粉が出てくるとそのまま使ってよいのかどうか心配になります。この白い粉は、焼付けが不十分だった為に、うわ薬が溶け出してしまったものです。また、水アカとなってつき、白い粉が出たように見える事もあります。白い粉の成分は、珪酸、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタンなどで、今のところ国の規制はありません。特に体に害があるというデータもないのです。ただ、やかんや鍋に異物がついていては、食事がおいしく感じられません。時々、食酢を混ぜた水でよく洗うと防げます。ストーブの上へかけておいて、水をつぎ足すのは白い粉の原因になります。あまりにも早く白い粉が出てきた時は、メーカーへ申し入れるとよいでしょう。
(5)魔法瓶は誰の命名?
魔法瓶は、現在ではフタのボタンを押すとお湯の出るエアポット式が沢山普及しています。瓶に栓をするだけの単純な魔法瓶が日本に入ってきたのは、明治42年の事です。その2年後には大阪で国産第1号が誕生しました。
当時は、温度、熱を意味するドイツ語「テルモス」とか、「24時間保冷保温真空二重瓶」などとよばれました。今では、ガラス製の保温保冷容器を一般に魔法瓶とよびます。
「魔法瓶」はすっかり普通名詞となっている訳ですが、もともととは日本電球という会社のれっきとした商標でした。この会社が初めからきちんと商標登録していなかったので一般名称になってしまい、今日に至ったのです。現在のJIS(日本工業規格)の中では、「まほうびん・水筒」の分類の中に入っています。
(6)キャラクター商品はなぜ高い?
マンガ主人公(キャラクター)の絵や形を使った商品が沢山出回っています。このキャラクター商品は、普通の商品よりも高いのが一般的です。学用品は1〜3割、遊具は1〜2割り、雑貨は2〜3割ほど高い事が東京と消費者センターなどの調べで分かっているのです。学用品の下敷きなどは、キャラクター商品以外の物を見つけ出すのが大変です。
高い原因は、商品化権にあります。商品化権というのは、あるキャラクターを何かの商品に使う権利です。ピカチューの絵のついたおもちゃを作ろうとしたら、その商品化権を持っているテレビ局、出版社、プロダクション、著作者などの許可がいるのです。使わせてもらう側は、キャラクター使用料を支払う必要があります。一般的な相場は、希望小売価格の3%程度、卸売価格では5〜6%になっています。そこで業者は使用料の分を小売価格に上乗せするので、その分キャラクターなしの商品よりも値段が高くなるのです。
(7)グリコマークのモデルは誰?
1粒で300メートルで有名なキャラメル「グリコ」。ランニングシャツと短パンの走者が両手を挙げている箱のデザインは、昔も今も同じです。
あのモデルは、グリコが発売された大正11年の前の年に開かれた第5回極東競技大会のマラソンに出たフィリピンのカタロン選手です。ゴールでのカタロン選手の笑顔が大変印象的だったので、健康とスポーツ、子供とスポーツを結びつけて考えられたマークです。ペンギンやゾウ、ハトなど他の候補マークもあったのですが、これに決まりました。
グリコを作っている会社は、江崎グリコ株式会社ですが、創設者の江崎利一とグリコーゲンからとったグリコを合わせたのが社名の由来です。1粒で300メートルのキャッチフレーズは、ゴロが良いので作ったもの。「体重40kgの人が300メートル走るのに必要なだけのカロリーがグリコ1粒に入ってる」という説明は、後から考えたものです。
(8)靴の裏にあるEは何の意味?
25E、26EEのように靴の裏底には数字とアルファベットが表示してあります。数字は足の長さを表す靴のサイズでセンチメートル単位で示してあります。数字の横にある英語は、ウイズ表示といい、親指と小指の付け根を通る回り寸法を示す記号です。日本語では甲囲とよびます。ウイズ表示は、皮靴、ゴム底に関するJIS(日本工業規格)で決められています。その種類は
ベビー靴 E、EE、EEE 
子供靴 D、E、EE、EEE
男子靴 D、E、EE、EEE、EEEE
婦人靴 C、D、E、EE
C、D、Eの順で大きくなり、Eが多くなるほど大きい事を示しています。サイズ26cmの男子靴を例にとりますと、D243mm、E249mm、EE256mm、EEEE268mmです。靴を買う時には、ウイズ表示で個々の足形にあったものを選ぶとよいのです。
(9)自殺でも生命保険は支払われるか
生命保険の死亡保険金が受け取れないのは、次の四つのケースです。
(1)被保険者が契約の日または契約復活の日から1年以内に自殺した時。
(2)死亡保険金受取人が故意に被保険者を死亡させた時。
(3)契約者が故意に被保険者を死亡させた時。
(4)被保険者が戦争その他の変乱により死亡した時。
つまり契約してから1年経っていれば、自殺でも保険金は受取人に契約通り支払われるのです。この年数は、昭和46年から「一年」と定められたもので、それまでは2年以内でした。このような保険約款があるのは、初めから自殺するつもりで加入するのを防ぐ為です。
ただし、精神病などによる自殺については、契約後の発病なら1年以内でも支払われる場合があります。保険契約の時、約款(契約条項)をよく詠む事が大切です。
(10)バーコードの話
商品についているバーコード、これはPOSシステムの為の記号です。POSとはポイント・オブ・セールの略で、販売時点情報管理の事を意味します。実は記号を光学的、磁気的に読み取る「音なしレジ」には欠かせないものなのです。バーコードは、JANシンボルともよびます。
JANシンボルや数字に含まれている商品情報をPOSレジスターで読み取りコンピューターに送って、そこから商品や価格などが返信されレシートが打ち出されてくる仕組みです。
バーコードには、二つの方法があります。製造元がつけるソース・マーキングという方法と、小売業者の店舗などでつけるインストア・マーキングがあります。
ソース・マーキングのコードは、国際的な規格JANシンボルに基づいた13桁の数字によって表示してありあます。
数字の表す意味は次の通りです。
@国コード2桁=日本は49、アメリカ、カナダは00〜09、イギリスは50
A商品メーカーコード5桁=商品メーカーや発売元を表す
B商品アイテムコード5桁=個々の商品を表す
Cチェックデジット1桁=誤読防止コードで正しく読み取られたかをチェックする