週刊
虎キチ考…<大阪と阪神タイガース>
参考・「関西弁会話集中講座」(大阪世一・著)
毎年の事ですが、阪神タイガースファンの品格のなさが、プロ野球シーズン中は随所 に目につきます。 なぜあれほどまでに熱狂するのか、負け試合の後、タイガースファンのくせになぜ タイガースの選手をああも罵倒するのか。 ここでは、そうした阪神タイガースの関西での位置づけを考えてみましょう。 実は、タイガースファンの熱狂ぶりは当たり前なのです。なぜなら、大阪経済はタイガ ースの成績によって変動するからです。タイガースが首位にでも立とうものなら、当然 のごとく阪神電鉄グループの株が上がりますが、その波及効果を受けて大阪全体が 活気づきます。商品を売るほうは、我が大阪人の「お祭り気質」が、大阪経済全体を ドームのように包み込んでしまうのです。 日本経済とはまったく無関係に、まるで独立国家のそれのようです。 大阪の子供たちは、 「ええか健二、うちらがこうやってご飯食べられんのもタイガースのおかげなんやか らね」 と、おかあちゃんに言われて育ちます。それが大阪の伝統でもあるのです。 したがって、タイガースが低迷するという事は、 「うちの売り上げ落ちるんと違うやろか」 と、大阪人の危機感を呼び起こすに充分な要因になります。 こう考えてみますと、ファンの熱狂ぶりも納得がいきますね。なんせ、事は食生活にま で及ぶのですから。 「新庄〜、クソして寝〜!」 という罵声の裏には、 「明日のオマンマ大丈夫かいな。ホンマ頼むで新庄〜」 という、大阪人の悲痛な叫びが隠されているのです。 もう既に、大阪全体が一つの球団なのです。阪神タイガースは、巨大な球団の、氷山 の一角に過ぎないのです。 私の大学の友人に藤井という男がいました。骨と皮だけというくらいに痩せていて、麻 雀牌のイーソウに似ていたため「イソコ」と呼ばれていました。例に漏れず、彼も熱狂 的なタイガースファンで、学内の「猛虎会」という応援団に入っていました。 ふだんはもの静かな男なのですが、一度一緒に甲子園球場に行ったとき、その変貌 ぶりに驚かされてしまいました。目は輝き腕は震え、キャンパスでは聞いた事のない ような大声で、下品な野次を飛ばしました。 「おうおう◇◇〜(相手チームの選手)、また三振か〜。新婚の嫁はんが泣いとるぞ〜 !」 心なしか、彼の肉体までもたくましくなったようでした。 1985年の優勝のとき、カーネルサンダースが川に放り込まれたというのは有名な話 ですが、1992年、最後までヤクルトと優勝を争った際、予防線を張って、「くいだおれ 人形」が「わて泳げまへんねん」という看板を持っていたそうです。いやはや、大阪人 って…。 |
ちなみに1999年のタイガースによる経 済効果と他の話題の経済効果との比較
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