第四話 女房の米つき

 
あるところに、並はずれてやきもち焼きの亭主と、浮気な女房が
おった。
亭主は行商で出かけるたびに女房の浮気に、悩みは深まるばか
り。思い余った亭主は、ある夜、明日からまた行商の旅に出るが
決して間男なんかつくるんじゃないぞ。と、女房によくよく言い聞か
せて、念のため、かかのアソコにしるしを付けて行くでな。と亭主は
行灯あんどんの灯りを寄せると、女房にまたを開かせて女陰の右側
に「鶯うぐいす」という字を書いた。
 亭主はほっとして、あくる朝、行商に出かけて行った。
「おかみさん、おかみさん」と小声で勝手場から出てきたのが間男
の佐助だった。
「おや、佐助さん、いつの間に…。」
「わしは夕べから床下でおかみさんのよがり声を聞いていて、もう
我慢できんようなってしもうた」と云いながら上がり込んできて、お
かみさんを押し倒して始めようとした。
「佐助さん、いけんのや、いけんのや」
「なしていけんのや、早よう、早よう」と自分の一物をしごきながら
馬乗りになってきた。
 女房が訳を話すと佐助はしげしげとおかみさんの女陰をひろげて
眺めておったが、「おかみさん我慢でけん」と云うなり一物をグイと
入れてしもうた。佐助は夕べから我慢のしどうしだったので、すご
い力で突き続けた。女房は若さと力強さにすっかり参って佐助に
しがみつき、大きなよがり声を出し、何度も反り返って果てた。佐
助の一物が、また元気を盛り返してピクピク動いているのを見ると
女房は素早くそれを口に含んでしごき始めた。佐助はたまらず女
房の口の中でウォー。
 二人は汗を拭きながら女房のアソコをのぞいたら字は消えてしも
うていた。
「かか!今、帰ったぞ」
 亭主は家に上がるなり、女房を寝かせ例のところを調べ始めた。
が、
「や、やや!」亭主は大声を上げた。
「やいやい。出かける前には、確かに女陰の右側に書いたはずの
字が、今は左側に移っておる。さては留守のあいだに間男を入れ
たな!この鶯の字は、間男が書いたのじゃろう」
 すると女房は、そ知らぬ顔で、
「春じゃもん、しかたありませぬ」
「なに!春なら浮気をしてもいいというのか!」
「いえ、鶯の谷渡りというて、さっきがた、ケチ、ケチと鳴いて谷を
渡りましたとこじゃ」
 鶯の字にこりた亭主は、次ぎの旅に出る時、「玄米」という二字を
書きしるして旅に出かけた。
 ところが、佐助は米屋の息子だったので米をつくのがうまく、下
のほうもつくのもよほど上手とみえて女房が毎日でもとせがむの
で、根気にやって来ては女房の下をついた。女房も尻を持ち上げ
ては、せっせとついた。つき終わると、又、玄米と書いていたが、
度重なるうちに、「玄米」の字を「白米」に間違えてしまった。それ
から一つき終わるごとに「白米」と書いておった。
 やがて亭主が行商の旅から帰ってきて、さっそく女房のアソコを
調べると、
「や、やや!」亭主は仰天して怒った。
「玄米の字が白米になっとるでねえか!」
 すると女房は、あわてて云うた。
「へえ、玄米は米屋についてもろて、白米にしておきました」
 

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