大和路の旅
まだ暑さ去らぬ 盆過ぎし頃  
妻と訪れし まほろばの里
広大な平城宮跡に いにしえの栄華偲ぶ
遠くの山並みに 陽が落ちてゆき
古代のロマンを 追い求めながら
朱雀門から 大極殿へたどる

脇のベンチに 腰を下ろして
涼しい風受け ただゆっくりと
暮れなずむ夜に 帳(トバリ)下りるのを待つ
ライトで輝く 華麗な大極殿
無数のロウソクの 明かり揺らめき
目前に幻想の 世界が広がる

光るバルーンが ふわふわ浮かび
蒼く静かな 月と相まり
美しさに輝く 夜の空は神秘的
光と灯りの饗宴に 亡き君を重ねれば
6年前に消えた灯が ここに蘇り
瞼には在りし日の まばゆい君がいる

奈良公園の 鹿と戯れ
大仏様に 目を丸くした
君の幼い頃の 話に花が咲き
時を忘れて 妻と語りあう
久々に来た 大和路の旅
二人のはずが 君も一緒だよ