hitomi's poetry-13
形見のジャケット

(1) 娘の残した 黒いジャケット
袖にさりげなく ナイキのロゴ
Hitomiを求めて まとってみれば
熱い思いが 胸よぎる
形見のジャケットで 鏡見れば
少しキツイが お気に入り
乾いた部屋に すき間風
Hitomiのほのかな ぬくもりが
寒さをさえぎり くるんでくれる

(2) 娘の残した 黒いジャケット
袖に一筋の グレーのライン
Hitomiを偲んで 袖通せば
香りが伝わる ほんのりと
形見のジャケットで 街に出れば
心はウキウキ 足も軽やか
冬枯れの街も どこ吹く風
Hitomiの優しい 温かみ
凍える私を つつんでくれる


娘に捧げる歌

(1) 仕事一筋 父親が
家族のためにと 昼夜(ひるよる)

働き通しの 人生に

気づいた時には 君は亡し

悲しみに暮れて 涙酒

心でつぶやく 詫び言を

ごめんな構ってやれずに

何を言っても 時遅し


(2) まじめ一筋 父親が
慣れない文句(ことば)の あいさつ文

届いて欲しい 親心
娘の結婚式(しき)に 愛を読む

はかない夢と 知りながら

心に描く 晴れ姿

ごめんな叶えてやれずに

何を言っても 始まらない


(3) 不器用ゆえの いばら道

今の私に 出来ること

君の遺志継ぎ 貫こう

遠い面影 胸に秘め

両手を合わせて 祈る日々

君の遺影に 誓う日々

がんばるよ君のため

きっといつかは 夢掴む