●『ダンス』![]() 今朝来た新聞の地域面に、「私のダンスでみんなを笑顔に」という見出しが目に飛び込んだ。 「プロフェッショナル・専門学校から」というコーナーで、各種専門学校で学ぶ人を紹介する記事らしい。78歳の爺さんには関係のない話なので、いつもは読み飛ばしていた。 ところが、「ダンス」の文字に、思わず目が留まった。 娘の瞳が生前、「東京へ行ってダンスを極めて、有名なダンサーになりたい」と夢を語っていたからだ。 記事の主人公はKANNAさん。福岡のミュージック&ダンス専門学校で学び、現在はパ・リーグのある球団の公式ダンス&ボーカルユニットでパフォーマーとして活動している。 幼い頃からダンスや歌が好きだったという彼女は、プロから基礎を学び、実際のパフォーマンスにも参加できる専門学校に進んだ。 そして今、球場のスタンドを前に、キレのあるダンスで観客を沸かせている。 「私のダンスでみんなを笑顔にしたい」 そう語る彼女の目は、夢を追う若者そのものだった。 記事を読みながら、私はふと思った。 ――瞳がいた頃にも、こんな専門学校があったのかなあ。 瞳も、あの頃はダンスに夢中だった。 「東京へ行ってダンスを習いたい」 そう言った瞳に、私は「東京での若い娘の一人暮らしはダメだ」と反対した。 あの時、もう少し娘の言葉に耳を傾けてやればよかった。東京が無理なら、夢をかなえられる学校を一緒に探してやればよかった。 そんな思いが、胸の奥からじわじわと沸いてきた。 KANNAさんは記事の最後で、こう語っていた。 「勝利の瞬間に立ち会えるのは、この仕事しかない。だからこそ、多くの人を笑顔にできるように、一つ一つのパフォーマンスを大事にしていきたい」 希望に満ちた言葉に、私は温かな感動を覚えた。 そして同時に、悔いも残った。 私は仕事ばかりを優先し、瞳の夢をかなえるために力になってやれなかった。 新聞の小さな記事が、遠い日の娘との会話を呼び戻してくれた。 紙面の中で踊るKANNAさんの姿に、夢を語っていた瞳が重なって見えた。 もし瞳が今も生きていたら、どんなダンスを踊っていただろう。 そんなことを考えながら、私は心の中で瞳に語りかけた。 ――瞳、お父さんはあの時、もう少しお前の夢を応援してやればよかったな。 そして、夢を追い続けるKANNAさんに、心の中でそっと拍手を送った。 どうかこれからも、そのダンスでたくさんの人を笑顔にしてください。 |
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