hitomi's poetry
想い出綴り−41 プルーン
cici
 毎週日曜日はスーパーへ買い物に行く。妻は家の食材、私は店の食材を買うので
別々に店内を回る。
 食品コーナーでプルーンを目にした時には一瞬、釘付けになり遠い過去が呼び戻さ
れる。
 独り住まいをしていた瞳が我が家に帰って来た時に、何回か一緒にスーパーに買い
物に行った事があった。
 私が「好きなん買いや」と言うと、瞳はプルーンを数袋を買い物カゴに放り込んだ。
 「そんなぎょうさん買(コ)うて、どないするねん。もっと色々な栄養を摂らんなアカンで」
 「プルーンはダイエットにエエねん」
 「瞳はダイエットせんでも細いやん」
 「もうちょっと、痩せたいねん」
 「ダイエットするにしても栄養のバランスを考えんなアカンで」
 「プルーンは鉄分の吸収を促進するし、ミネラルとビタミンもバランスよく含んでるで」
 親は独り住まいの娘の食生活が気になるものだが、瞳が亡くなって部屋を片付けた
時に冷蔵庫には野菜類と多数のほうれん草の冷凍、ストッカーには多数のコンニャク・
ラーメン、春雨スープが目に付いた。カロリーは低いものの栄養のバランスがとれたも
のばかりだった。
 あんなに健康に気を使っていた娘が、どうして私より早く逝ってしまったのか…
 思い出すと胸が痛む。


作文・TOPへ戻る