健康note-2
○イノシトール |
優れた抗脂肪肝作用 |
米は私たちの重要な栄養源ですが、精米過程で取り除かれ る米ぬかや玄米の成分に、さまざまな機能性があるとわかり、 注目されています。その一つがイノシトールです。 |
【イノシトールとは?】 昔から肝臓によい成分として知られ、脂肪やコレステロールが肝臓にたまらない ようにする抗脂肪肝作用があり、薬としても使われています。また、欠乏するとネズ ミが脱毛することから、ビタミンB群の一種と考えられてもいましたが、今では体内 でも作られることがわかり、ビタミンには属していません。さらに、人間の初乳に多く 含まれ、乳児に欠かせない成長物質ともいわれています。 |
【どんな食品に含まれているのか?】 米ぬかや玄米に多いのはもちろん、穀類、豆類、ナッツなどに含まれます。食品 中では、リン酸がついたフィチン酸(IP6)という形で存在しており、フィチン酸に関し ての研究がこれまで行われてきました。ところが、フィチン酸にはキレート作用とい って、体内でカルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラルと結合し、鉄欠乏性貧 血やミネラルの吸収阻害を起こしてしまう可能性があります。また、玄米が発芽す るときや調理過程などにフィチン酸からリン酸がはずれ、私たちはイノシトールの形 で利用することも多炒め、キレート作用のないイノシトールに関する研究が増えてき ました。 |
【イノシトールの作用は?】 肝臓発がんに対して非常に優れた抑制作用があるのを、京都府立医科大学生 化学教室の西野輔翼教授のグループは動物実験で確認しました。このほかにも、 大腸発がん、乳がん、肺発がんの抑制に有効だという動物実験での報告などもあ ります。 すでに食品由来のリコピン、α−カロチン、β−カロチンなどを混合した複合カロ チノイドというもので、肝硬変の患者さんたちが肝がんになる率を三分の一程度ま で抑制できるのを、臨床試験で確かめています。肝臓に素晴らしい作用を示すイ ノシトールを、この複合カロチノイドに加えることによって、さらに効果がアップする のでは、と期待しており、確認のための臨床試験を計画しています。 |
【参考料理】 中華風玄米ご飯 <材料>(4人分) 玄米(発芽)…2cup 干し貝柱…4個 ニンジン…1/4本 卵…2個 <作り方> @・干し貝柱は水1cupに浸して一晩おき、細かくほぐす。戻し汁はとっておく。 A・玄米は水洗いしてたっぷりの水に1時間浸し、ざるにあげて水気をきる。 B・ニンジンは粗みじん切りにする。 C・ボウルに卵を割りほぐし、塩、コショウ各少量を加え混ぜる。 D・中華鍋にサラダ油大さじ1を熱し、Cを一度に流し入れて大きくかき混ぜ、半熟 程度になったら取り出す。 E・Dの鍋にサラダ油大さじ1を熱し、@Bを炒める。 F・炊飯器にAE、@の戻し汁と合わせて2 1/2cupになる水、酒大さじ1、ゴマ油 小さじ1/2、鶏がらスープのもと、塩各小さじ1/4、コショウ少量を入れて普通に炊 き、十分に蒸らす。 G・FにDを加えて切るように混ぜ合わせる。 H・器にGを盛る。 ◆熱量403kcal、タンパク質12g、脂質11g、塩分1.1g |