健康note-2

○デルフィニジン
がん予防の可能性含む
夏野菜はなぜ色が濃いのか
 生物は、常に活性酸素という危険な物質と付き合いながら生きています。活
性酸素は生物体内で産生されると共に、体外からも攻め込み、過剰な活性酸
素は細胞を酸化して障害を与えます。例えば人では、脂質を酸化して過酸化
物質を作ったり、DNAを傷つけ、動脈硬化やがんを促進させます。植物でも
細胞膜やDNAに傷をつけるので、夏野菜の濃い色は、活性酸素の害から身
を守る、植物の防御システムだと考えられています

 防御システムとは、特に紫外線が強い夏は、植物体内で活性酸素が大量
に発生するので、細胞が酸化されて傷つかないように、抗酸化物質が大量に
必要になります。その主なものが、アントシアニン、フラボノイド、カロチノイドな
どの色素なので、夏野菜の色は濃いのです。
 ナスの紫色もそうです。デルフィニジンというアントシアニンの一種です。条
件がよければ、活性酸素を100%に近い割合で除去する、非常に強い抗酸
化作用が確認されています。さらに、がんとのかかわりもわかってきました。
具体的には?
 活性酸素や発がん物質によって細胞は傷つき、遺伝子が変異します。そこ
に、発がんプロモーターといわれる発がん促進物質があると、変異細胞がど
んどん増えたり、さらに新しい変異が加わって、がん化が促進します。細胞や
動物で実験してみたところ、デルフィニジンが発がんプロモーターの作用を強
力に抑制しました。つまり、抗発がん作用があるということです。
人ではどうか】
 まだ有効性は証明できていません。人での抗がん、特に抗発がん研究は、
とても長い時間を要するため、なかなか結果が得られないのです。ただ、ナス
にがん予防の可能性があるのは確かです。しかも、皮ごと食べることも多い
し、熱に強いデルフィニジンは、加熱調理にも向きます。身近な野菜にがんを
予防するような機能性があるのは、素晴らしい事です。
参考料理
ナスのショウガ酢漬け
<材料>(4人分)
ナス…5個、キュウリ…1本、薄紅ショウガ(梅酢漬け)…30g、塩、酢、砂糖
<作り方>
@・ナスはへたを切り取り、乱切りにし、塩小さじ1をふって軽くもみ、水洗い
  して水気を抑える。
A・キュウリは小さめの乱切りにし、塩小さじ2/3をふって軽くもみ、水洗い
  して水気を抑える。
B・薄紅ショウガは食べやすい大きさに切る。漬け汁はとっておく。
C・耐熱容器に酢1/2cup、砂糖大さじ2 1/2、Bの漬け汁大さじ2、塩小さじ
  1/3を入れてラップをかけずに500Wの電子レンジで40秒加熱し、冷ます。
D・Cに@ABを入れて軽くあえ、ときどき上下を返しながら冷蔵庫で30分漬ける。
E・器にDを盛る。
◆薄紅ショウガは、梅酢漬けが手に入らないときは、普通でもいい。
◆熱量53kcal、タンパク質1g、脂質0g、塩分3.2g