健康note-2

○ヘスペリジン
骨量減少を抑える
ヘスペリジンとは?
 加齢とともに骨がスカスカになる骨粗しょう症。高齢社会の日本では、予防や改善
のための研究が重要な課題です。注目の成分の一つがヘスペリジンです。
 ヘスペリジンとは、レモン、ミカン、オレンジ、スダチなどかんきつ類の皮に多いフラ
ボノイドの一種です。植物中は水に溶けにくい性質ですが、水溶性を高めたものは
清涼飲料水などにも利用されています。
骨とのかかわりは?】
 骨は一度作られるとそのまま変わらないように見えますが、実は破骨細胞が骨を
壊し(骨吸収)、骨芽細胞が新しい骨を作って(骨形成)、この二つがバランスを取り
合っています。ところが、加齢で卵巣の働きが低下して女性ホルモンの作用が弱く
なったり、ミネラルの吸収が悪くなったり、若年層でも食事から十分にミネラルがと
れないと、破骨細胞と骨芽細胞の関係が悪くなり、骨密度が減って骨粗しょう症に
なります。そこで、東京農業大学応用生物科学部栄養科学科の上原万里子助教
授や国立健康・栄養研究所の石見佳子先生、千葉大成先生、東洋精糖(東京都)と
の共同研究で、ヘスペリジンの効果を検討しました。卵巣を摘出したマウスや、骨
の代謝に不可欠なマグネシウムを欠乏させた餌を与えたラットでは、骨量が減少し
ます。そこにヘスペリジンを加えたところ、大たい骨の骨密度の減り方がゆるやか
になりました。ヘスペリジンが骨量減少を抑えたのです。
ヘスペリジンは人でも有効?】
 残念ながら人でのデータはまだありませんが、とても興味深い最近の報告が二つ
あります。まず、ヘスペリジンはHMG−CoA還元酵素を阻害し、コレステロール合
成を抑制するという報告です。そしてもう一つは、この酵素を阻害する作用を持つコ
レステロール合成阻害剤メバロチンなどのスタチン系薬剤が、骨形成を促進し、骨
吸収を抑制するという報告です。しかも、この薬剤を服用した人では、骨量が増え、
骨折率も下がっています。今回の私たちの研究はこの二つの報告を合わせ、ヘス
ペリジンが血中コレステロールを下げ、骨量減少を抑えることを動物実験で証明し
たものです。今後の研究次第では、人での効果も期待できるのではと思っています。
参考料理
ニンジンとオレンジのコールドスープ
<材料>(4人分)
ニンジン…1/2本、玉ネギ…1/4個、ジャガイモ…1/2個、オレンジ(ネーブル)…2個、
レモン汁…小さじ1/2〜1、チャイブ(小口切り)…適量、固形スープ、塩、バター
<作り方>
@・ニンジンは5mm厚さの輪切りにする。
A・玉ネギは薄切りにする。
B・ジャガイモは皮をむいて5mm厚さのイチョウ切りにし、水にさらして水気をきる。
C・オレンジ1個は果汁を搾り、残りは皮をむいて薄皮を丁寧に取り除く。
D・鍋にバター大さじ1を熱して@ABを軽く炒め、固形スープ1/2個、水1・1/2cup
  を入れてアクを
  取り除きながら、野菜がやわらかくなるまで10分煮る。火から下ろして粗熱をとる。
E・Dをミキサーにかける。
F・ボウルにEを入れて塩少量で味を調え、Cの果汁とレモン汁を加え混ぜ、冷蔵庫
  で冷やす。
G・器にFを注ぎ入れて残りのCを加え、チャイブを散らす。
◆オレンジはネーブルがなければバレンシアを使ってもいい。
◆オレンジの酸味に合わせてレモン汁の分量を加減する。
◆熱量51kcal、タンパク質1g、脂質3g、塩分0.5g