健康note

○冬場の入浴
寒くなってくると、お風呂が楽しみの一つになってきますが、その半面、
入浴中の死亡事故などが年間で一番多いのも冬の季節です。
脱衣場や浴室をあらかじめ温めておく、お風呂の温度は38℃〜41℃
にする、高血圧など既往症のある人は、一人湯や長湯を避ける、など
を心掛けながら、健康的な入浴を楽しみましょう。
浴室死亡者が意外に多い
正確な統計調査はありませんが、全国で毎年、入浴時に亡くなる人の数は1万4000
〜5000人にのぼると見られます。
国民生活センターの発表によると、東京都、大阪府、兵庫県の監察医機関が93〜97
年に検死を行った浴室内死亡者は2736人。年齢別に見ると、65歳以上が実に全体の
8割に達し、月別では、11月〜3月の死亡率が7割を占めます。また、死亡原因を見る
と、一番多いのが心筋梗塞など循環器系の疾患(全体の7割)で、その他、脳出血、
溺死できしなどが目立ちます。
入浴スタイル
シャワーで体を洗うだけの欧米では、入浴中に死亡する例はほとんどないといいます。
お湯に深々と長時間つかる日本の入浴スタイルは、体への負担が大きく、血圧の大き
な変動を伴うため、特に高血圧の人などは注意が必要です。
工夫したい脱衣場の暖房化
また、欧米では浴室の暖房が普及しているのに対し、日本では浴室に暖房がないの
が一般的。冬場、暖かい部屋から寒い脱衣場に入ると、血管が収縮するため、血圧が
急に上がります。そして、浴槽に入ると、熱いお湯の刺激で血圧がまた上昇し、その
後、体全体が温まってくると、血圧は下がります。
こうした「温度差」による血圧の急激な変化が、心筋梗塞や脳出血、失神を起こす引き
金になります。特に、高齢になるほど、循環器系の調整機能が低下し、高血圧症も増
えるので、血圧変動によるリスクは高くなります。リスクを低くするよう心掛けながら、
入浴を楽しむことが大切です。
熱いお湯での長時間は禁物
冬場の入浴で心掛けたいのは、まず、熱いお湯での長湯を避けること。お湯の適温は
38℃〜41℃。全入浴時間(浴室に入ってから出るまで)は20分以内にします。また、
脱衣場の暖房化。あらかじめシャワーでお湯を出しておくなどして暖めます。他の家族
が入浴した後(二番湯入浴)は、浴室が暖まっている上、お湯の温度も調整済みなの
で、特に高齢者にお勧めです。
お湯につかる際は、心臓などに水圧が余りかからない半身浴が理想的。冷たいタオル
などをひたいに乗せると、のぼせ、失神を防ぐ効果があります。体調が悪いときや飲酒
後、また食後すぐの入浴は避けます。高血圧や動脈硬化などの既往症のある人は、
家族に一声かけてから入浴するようにします。また、入浴前後に血圧降下薬を飲まない
こと。
洗いすぎは肌乾燥に拍車
冬場の入浴でもう一つ気を付けたいのは肌の管理。高齢になるほど、肌は乾燥し、かゆ
みを訴える人が多くなりますが、冬は空気が乾燥している上、発汗も少なくなるので、肌
の乾燥に拍車がかかります。
石けんやシャンプーを使いすぎると、破談の潤い成分である皮脂を落としてしまうので、
要注意。石けんで体を洗うのは、何日かに1回で十分。熱いお湯に長時間つかるのも、
皮膚の表面の角質層を傷めます。肌の弱い人がナイロンタオルを使うと、湿疹やかゆみ
の原因になることも。
お湯には、保湿性のある入浴剤を入れます。入浴後すぐ(肌に湿り気が残っている間)
に、保湿剤を肌に塗るのもいいでしょう。
冬場の入浴と血圧の変化
入浴の
動作
脱衣場で
服をぬぐ
脱衣場から
浴室に入る
かけ湯を
する
浴槽に入る お湯につか
湯から出
て体を洗う
洗い終えて
湯につかる
浴室から出
て脱衣場へ
脱衣場で
服を着る
血圧の
変化
血圧が
変化
する
理由
寒い脱衣
場に入る。
服を脱ぐ為
体を動かす
寒い浴室に
入る
体がお湯
で刺激を
受ける
熱い湯につ
かる。水圧
で心臓に負
担がかかる
体が温まる
と血管が広
がり血流が
よくなる
髪などを
洗う為、
体を動か
体が温まる
と、血管が
広がり血流
がよくなる
温まった体
が急に寒い
脱衣場に入
服を着る
為、体を
動かす