健康note-2

夏バテした体を薬膳で整える
薬膳には、普段の食事に気を使って体調を整える薬膳から、病気を治す為の
究極の薬膳まで、色々あります。
 薬膳というと、「漢方薬を使った料理」「材料を入手したり、作るのが大変」と
考える人が多いのですが、@食物の性質・効能を知りA自分の体質と環境や
季節に合わせB今、自分の体の為にベストな食べ物を摂る―事が薬膳の
基本です。
 「夏は豆」ということわざがあります。豆は炭水化物やタンパク質を含んでい
るので、スタミナをつけるのに便利。その上、火照った体を鎮めてくれる働きも
あり、夏バテ予防に好都合です。夏バテになってしまったら「土用のウナギ」。
夏バテで食欲も無い、そんな時はウナギに属するような滋養強壮に効くもの
を食べましょう。
 また、秋風が吹き始めると、乾燥した冷たい空気が膚や肺を襲います。この
時期には、大根や秋に獲れる種子や木の実(ゴマ、クルミなど)が、肺を強く
し、風邪予防にも効果があります。
 この“夏の豆やウナギ”“秋の種子や木の実”も実は薬膳でス。中国から日
本に伝わって千数百年、薬膳は私達の生活に根付き、伝えられてきている
のです。薬膳の考え方で覚えておいた方がいいのは、食物には「温かいもの」
と「冷たいもの」がある事。
温性の食物と涼性の食物
温・熱の作用のある食物 涼・寒の作用のある食物
小松菜、アブラ菜、ヨモギ、ニラ、ネギ、シソ、
カブ、ラッキョウ、ショウガ、ニンニク、カボチャ、
栗、ザクロ、モチ米、玄米、エビ、ウナギ、
ブリ、マグロ、イワシ、酢、日本酒、ワイン
白菜、キュウリ、ナス、ゴボウ、大根、
トマト、ミョウガ、梨、スイカ、柿、菊花、
小麦、そば、豆腐、バナナ、昆布、ワカメ、
ハマグリ、アサリ、シジミ、カニ、タコ
夏は冷たいものを食べると気持ちいいのですが、薬膳でいう「冷たいもの」という
のは、クーラーのように体を冷やすものではなくて、体の熱を取って平常に戻して
くれるもの。「温かいもの」とは、体を中から温めてくれるものです。暑がりで、夜
布団から足を出さないと寝られない、と言っている人に限って、ニンニクや焼肉が
好きだったりする。そういう人はせめて夕食には体を温めるものを取らない。間違
った食べ方をしないだけでも随分違います。 また、私達が普段口にしている食
物にはそれぞれ、血液を増やしたり、尿の出を良くする、精神安定に効く、などの
「効能」があります。これらの効能を知って上手に使うだけでも、薬膳の入門にな
ります。
それぞれの症状に効能のある主な食物
補血 ほうれん草、小松菜、パセリ、ニンジン、ブドウ、スッポン、ウナギ、
イワシ、イカ、カニ、カキ、ヒジキ、牛肉、牛レバー、鶏肉、鶏レバー、
豚肉
利尿、むくみ 白菜、キュウリ、カボチャ、スイカ、小豆、エンドウ、黒豆、ソラマメ、
大豆、アサリ、シジミ、ドジョウ、昆布、ワカメ、緑茶
便通 ナス、ジャガイモ、ゴボウ、タケノコ、ゴマ、イチジク、バナナ、牛乳、
コンニャク
夏バテ、解毒 セロリ、モヤシ、そば、小豆、黒豆、大豆、緑豆、菊花、シイタケ、
ユリ根、柿、スイカ、シジミ、ドジョウ、昆布、ノリ、ワカメ
発汗、発散 浜納豆、豆、菊花、ネギ、ショウガ、葛、葛根、ハッカ
精神安定、
安眠
セロリ、アスパラガス、シソ、レタス、セリ、ユリ根、クワイ、レンコン、
ハスの実、梅、ゴマ、クルミ、菊花、アサリ、カキ、シジミ、昆布
痰を除く 春菊、クワイ、玉ネギ、大根、ギンナン、柿、ミカン、ユズ、キンカン、
梨、緑茶
咳を鎮める ネギ、シソ、レンコン、ユリ根、大根、カブ、ギンナン、梨、リンゴ、
バナナ、ハチミツ
眼精疲労 ホウレン草、ニンジン、アンズ、梅、菊花、レバー、ヤツメウナギ、
ドジョウ、アワビ、
シジミ
 「味」を利用するのもこれらの効能を知って、薬膳の独特の考え方です。梅干し、
かんきつ類などの「酸味」は、朝、目覚めた時の筋肉、内臓、神経を稼動させてく
れる。菜の花、山菜などの「苦味」は、春の不安定な体と精神を安定させてくれる。
穀物、イモ、果物の「甘味」は疲れを取り、神経をリラックスさせてくれます。 
 薬膳といっても特別な事ではありません。食物の性質や効能を知り、これからも
食物と上手に付き合って下さい。 
生活習慣病を予防して長寿に
@菊花とキノコの炊き込み御飯
<材料>(4人分)
米…3cup、だし汁…3cup、菊花…30g、生シイタケ…3枚、シメジ…1pack、
エノキ…1袋、昆布…5cm、油…1/4cup、酒…大さじ2、しょう油…大さじ2、
サラダ油…大さじ1、ユズの皮…少量、酢…少量、調味料A(酒…大さじ2、
薄口しょう油…大さじ2、砂糖…小さじ1、塩…少量
<作り方>
@・米は洗ってザルにあげておく。菊は花びらを外し、酢水につけてサッと茹で、
  軽く絞ってほぐしておく。
A・シメジとシイタケは石づきを取り、シイタケは細切りに。シメジは小房に分け
  る。エノキは根元を切って半分に切り、ほぐしておく。
B・鍋に油を熱してAを炒め、酒、しょう油を加え、サッと炒り煮をする煮汁が出
  たら、だし汁に加えて3cupにする。
C・釜の中に米を入れ、Bのだし汁とキノコ、菊花、昆布、調味料を加え、一混
  ぜして炊く(味の調整は好みで)。
D・出来上がったら器に盛り、ユズの皮を千切りにして散らす。
◆ギンナニやクルミを入れてもよい。
【効能】菊花には強い抗菌作用がある。その他、解熱、消炎、鎮痛、視力の改善、
血圧降下作用も認められている。キノコは生活習慣病一般に良いとされ、いずれ
も肺機能を高め、秋の養生食には
欠かせない。
肺機能を高めて風邪予防
A豚肉とダイコンの薬味ソース
<材料>(4人分)
豚肩ロース(塊)…600g、ダイコン…1/3本、ニンニク…2片、ショウガ…2片、
ネギ…1本、豆板醤…大さじ1弱、酢…小さじ1、砂糖…大さじ1、片栗粉…少量、
サラダ油…大さじ2、A(酒…大さじ2、砂糖…大さじ1、しょう油…大さじ5
<作り方>
@・鍋に豚肉、乱切りにしたネギ、潰したショウガ1片を入れ、ひたひたまで熱湯を
  注ぎ、弱火で煮る。アクが出たら取る。
A・煮えたら鍋から出し6〜7mmの厚さに切る。茹で汁は漉しておく。
B・鍋にAの茹で汁4cup(足りなければ水を加えて)にソース用調味料を加え、
  Aの豚肉と半月切りにした(肉と同じぐらいの厚みに)ダイコンを入れ中火で煮る。
C・別の鍋を熱してサラダ油を入れ、みじん切りのニンニクとショウガ各1片、豆板醤
  を入れ焦がさないように炒める。Bの煮汁1cupと砂糖、酢を加え、水溶き片栗粉
  を入れ、一煮立ちさせる。   
D・Bを器に盛り、Cのソースをかける。
【効能】豚肉は「補腎養血」「滋陰潤燥」。血液をつくって精力を強め、虚弱を改善し、
肌を潤し、乾燥性の咳や便秘を治すとされている。ダイコンは消化促進、熱性の咳や
タンを止める働きがある。ニンニク、ショウガ、豆板醤は体を温める。