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旅のエチケット
旅はエチケットで満たされている。
○多くの日本人は、旅行をする事は知っているのですが、旅を愛する心を知らないのです。旅、それはエチケットで満たされているといってよいでしょう。列車や飛行機に乗っても、ホテルや旅館についても、観光の時にも、自ら楽しみ、他人の楽しみを邪魔せず、みんながそれぞれに自然や文化財、そして自分の心を楽しんだ時に、旅は始まり、旅は終わるのです。そして、よい思い出がいつまでも残るのです。

旅行先で記念にと、落書きをする人がいるが絶対にしない様に。
○新婚旅行や観光に行く土地の風物や建造物、文化財などの心もとない落書きは、他の旅行者、土地の人たち幻滅させます。また、むやみに木を折ったり花を摘んだり、ゴミを捨てたりしてはいけません。旅の喜びを他の人たちにも分け合いましょう。

寝台車では守るべきマナーが多い。特に大声で話さない、寝巻きなどでウロウロしない。
○寝台専用列車は、出発時の8時か9時頃から、もう寝台になっていて、翌朝の7時頃まで寝台を利用できるようになっています。朝型の人、夜型の人様々いますが、ともかく寝台車では夜9時を過ぎると静かにしたいものです。友達が離れた所にいるからといってその席に押しかけ、酒盛りをしたり、お喋りをしたりしない。
特に、夜中に途中駅から乗り込む場合は、他の人は寝静まっているので注意が必要です。それは、トイレに行く時も同じです。ドアを開ける時、階段の上がり下がり、静かにふるまいましょう。また、女性がトイレに行く時はネグリジェや、前をはだけた浴衣姿
で歩かない。寝巻き姿の人は何かを羽織るなり、着替えるなりしましょう。
朝7時になるとたいてい、寝台を整理しに係りの人がやってきます。上段の人は早めに身づくろいをして寝台を降りましょう。下の段の人が、座る場所もなく、待っていなければ成りません。特に子供連れの人は他の人に迷惑をかけないように注意する。またベットから落ちないように、下段をとる心がけも必要。
一人旅の場合は何でも自分の事は自分でする。
○一人旅の良いところは、日常生活から全く切り離された時点に自分をポツンと置いてみる事が出来ます。仲の良い友達や、一緒に住んでいる人と出かけたりすると、日常がそのままくっついてきて、何の為の旅だかわからなくなってしまいます。会話に夢中になり何処へ行ったのか、何を感じたのか?を考える余裕がなくなります。海外旅行などにはツアーに一人で参加し、見知らぬ同士が一つのグループを作って旅行すると、その出会いをお互いに大切にする事で、その旅が良い記念になり、そのままずっと仲良く付き合うケースもあります。
さて、一人旅のエチケットですが、何でも自分の事は自分でする事が大切です。荷物の上げ下ろし、切符を買う、全て手伝ってくれる人がいても、できるだけ自分でする。そうした事が人に好感を与え、つけ入るスキを与えません。そうして態度を堅持した上でひとの本当の好意は受けたいものです。
女性の一人旅は、よく自殺でもするのではないかと敬遠される事があります。ホテルなら心配いりませんが、旅館ではできるだけ快活にふるまって、宿の人には余計な心配をかけないようにしましょう。
外国に行けばバラ色の生活があると、気軽に考えない。
○外国にさえ行けば、何か仕事が転がっているだうと、帰りの切符もお金もなく、とにかく行きの切符だけ持って、甘い考えで出かけて行く若者には困りものです。実際、そんなうまい話はありません。たいした仕事もなく、日本に帰るに帰れず、そのままうろついている日本人が多いといいます。特に女性の場合は、連れ去られて売られて落ちていく
ケースもあります。
決して、海外さえ出かければ、バラ色の世界が広がっているわけではありません。言葉の不自由な土地で、どんな危険が待ち受けているかもしれないのです。一人旅にしろ、団体旅行にしろ、一応帰国できるだけのお金と飛行機、ホテルの予約は前もってきちんとしておいたほうがいいでしょう。そして、連絡場所のチェック。たいていの場合は日本大使館か日航支店がその目印になっています。旅行先に知人、会社の支社があればメモっておくように。ただし、旅先ではイザという時だけにとどめて、できるだけ人に迷惑はかけたくないものです。そしておせわになったら、帰国後、お礼状と何か心ばかりのものを船便などで送りたいものです。
海外旅行をする時はその場所に合わせた服装を。
○まず、相手に不愉快な思いをさせない服装を心がけましょう。特にナイトクラブ、ホテル、レストランなどによっては背広、ネクタイ着用とか、女性もそれにふさわしいものを着用するところが多いようです。そこへジーパンにサンダルというくだけた格好で行くと追い出されます。(リゾートホテルは別)見物に行く時は軽く動きやすいものがいいでしょう。自分は旅行者なのだからという自分本位の考えで行動してはいけない。
海外ではトイレ事情が違う。
○外国旅行をした場合には、全く事情が違う事がありますから注意しましょう。ある意味で国によって、トイレほど違うものはないでしょう。中近東では、トイレのドアがなく、カーテンが閉まるだけです。またメキシコなどでは体の部分が隠れるだけのごく小さなドアで、外から足が見え、立ち上がると頭が丸見えなのです。おまけにカギはかかりません。カギをかけなくても足元を見れば、人がいるかどうか分かるからです。そして突然下の開いた部分から、ニュッと手が出て、紙を渡してくれる場合もあり、それが仕事でチップももらっている人もいるそうです。水道の水を親切に出してくれて、お金を取るところもあります。
外国は有料トイレが多いので、チップ用小銭の用意を。
○日本ではトイレは無料が当たり前ですが、外国では違います。無料なのは、ホテルの自分の部屋くらいのもので、ホテルでもロビーに行けば、すでに有料、ほとんどチップが必要です。外国ではトイレにいく前には、小銭があるかどうか確かめて、なかったらくずしておきましょう。
海外での用足しはトイレットペーパーは持参する事。
○トイレットペーパーですが、国によっては、使用している紙も様々です。以前、エジプトではトイレ用の紙不足でボール紙のような硬い紙しかなかった事がありました。およそ使えないようなものでした。ですからホテルにはちゃんとしたペーパーがあるものと考えないで、一応、ティッシュなどを多く持っていく必要があります。
また、場所によっては、水が流れにくかったり、真っ茶色の水しか出なかったりする事もありますので、心にとめておいて下さい。
欧米ではいつもニコニコは困りもの。
○日本人の微笑は、外人には謎にうつるようです。意味もないのに笑っている様で思えて不気味だといいます。特に女性は誤解の元ですから、気とつけたいものです。むやみに誰にでもニコニコと愛想をふりまくと、自分に気があると男性に受け取られても、いたしかたありません。
欧米では女とみたら口説くのが礼儀。親切にされたからといって、スキをみせない。
○女性がヨーロッパの街を歩いていると、必ず男性に声をかけられたり、後ろについてこられたりする事があります。素敵な外国人男性だったら、そう悪い気もしませんが、そこでいい気になってもらっては困ります。外国人の男性は女性とみたら、声をかけるのが常識、一種の礼儀みたいなものですから。
あまり熱心に誘われると、断りきれないかも知れませんが、ていねいに断りましょう。犯罪に巻き込まれたり、大変な事になったりなりかねません。
見知らぬ男性から誘われて断るのは、決して失礼ではありません。向こうは挨拶のつもりで、声をかけているのにすぎないのですから。
欧米では乗り物の乗り降りはレディファーストで。
○欧米ではレディファーストである事はいうまでもありません。乗り物の乗り降り、ホテルのエレベーター、レストランの出入りについても、女性を先にするのが礼儀です。日本の男性もその辺、スマートになった人が増えてきました。逆に女性の方が先に立てられてとまどう事が多いようですが、堂々と先に乗ってもいいのです。
荷物は男性が助ける事。
○女性が重い荷物を持っているのに、ご主人が知らん顔では困ります。また外国の旅行客は航空券を買う時、予約確認する時、事務的な事はほとんどといっていい程、男性がして、女性はロビーで待っているだけというカップルが多いようです。
日本国内では何でもレディファースの必要はありませんが、外国旅行で外人と一緒の場合は気をつけましょう。

何でも男性に任せっぱなしも困りもの。お互い助け合う事。
○何でも男性にしてもらうのが当然、といった態度はいただけません。重い荷物を三つも四つも持って、汗をかきかきご主人が運んでいるのに、奥さんはハンドバッグ一つで涼しい顔、というのは見よいものではありません。やはり持てる範囲のものは、自分で持つ気持ちが必要です。
また、出入国の様々な手続きも男性に任せっきりで、自分は何もしないのでは困りもの。忙しい時は助け合いましょう。
外国で日本人に出会った時は、軽く挨拶を交わす事。
旅先で、日本人に会った時、あなたならどんな態度をとるでしょうか。今ではどんな遠い国へ出かけても、日本人に会わない事はほとんどありません。ツアーの団体さんもあれば、アベックの旅行、個人の一人旅も、仕事で来ている人もいます。そんな時、お互いに日本人である事を意識しあって、知らん顔をしたり、そっぽを向いたりする人がいます。「あっ、あそこにも日本人がいる」と、すっかり自分も日本人である事を忘れてしまって、こんな異国に日本人に会う不遇を嘆きます。自分だけがここに来ているという優越感に浸りたいのでしょう。なぜか日本人同士は、外国で出会った時、お互い妙な顔をします。その点、外人の観光客は、実に自然です。隣りの席に座ったり、いつも同じ飛行機になったりすると、軽い会話を交わします。同国人であるという意識よりも、旅で出会った仲間という感じです。年寄りの団体さんも、さりげなく挨拶を交わします。日本人は、あまりに日本人であるという意識が強すぎて、相手を無視してみたり(そのくせ、心の中では気になって仕方がないのですが)、逆にべったり頼りきったりします。それも困りものです。とにかく相手が日本人だとわかったら、知らん顔をしないで軽く会釈をするか、挨拶をしましょう。
声をかけて頼りすぎるのもよくない。
○知らん顔をしてはダメといっても、旅先で出会った人に、しつこく仕事の事や家族やプライベートな事に立ち入るのもよくありません。そうした日常をせっかく忘れているのに…。中にはわかっているのに、いちいち説明を求める人もいます。一緒のタクシーに乗りましょうと、相手の都合も考えずに、何もかもおんぶするのも困りものです。日本人だとみたら顔をそむけるのも、逆にそばにくっついて離れないのもエチケットに反します。
外国旅行中は、できるだけその土地の食べ物をその土地の流儀で食べてみる。
○「郷に入ったら、郷に従え」ということわざがあります。旅に出た場合も同じ事がいえます。その土地に行ったらその土地のものをその土地の流儀で食べるのが、旅を楽しむコツです。インドには暑さよけの辛いカレーがあり、チャパティがあり、メキシコにはタコスがあります。しれは日本で食べた時はおいしくないかもしれませんが、その土地で食べると、それに勝るおいしいものは無いように思います。暑い所にはそれなりの工夫があり、寒い所にもその土地にあった工夫があります。ですから、旅に出ても、インスタントラーメンばかり食べたり、日本料理店ばかり探したりしないようにしましょう。いざという時に、しょう油など調味料だけを小量持っていく事をお勧めします。もし、その味になじめない人がいたら、ほんの少し加えるだけで一段とおいしく味わえます。
ただ、あまり郷に入りすぎて、不潔なものや生水を飲むと、たちまちお腹をこわしたり、発熱する事がありますので、その辺は気をつけて下さい。
旅の荷物はできるだけ少なく。
○旅のエチケットで大切なのは、荷物の処理です。とかく日本人は荷物が多いようです。それも預けるトランクなどではなく、手荷物です。なんでも手元におけば安心だと思っているのでしょう。狭い飛行機の座席の下に入れても入りきらず隣りの人の足の下まではみ出していたり、通路にはみ出しているものが多いようですが。それも、割れそうなお酒の瓶だったりするので危険です。外国人は、預ける荷物が多いのが特徴です。それもお金持ちほど多いようです。いずれにしろ、旅をスマートにするには荷物を少なくするのが一番です。できればポーターの手を煩わせる事なく、自分で持てる範囲のものにしぼりたいものです。
機内持込は座席の下に入れる。コート防止類は上の棚に。
○大きな荷物を棚に上げる人がいます。電車の網棚のつもりかもしれませんが、揺れた場合に落ちてきたら、いかに危険かを考えてみて下さい。最近は、キチンとフタのしまる型のものが多くなってきましたが、上に載せるものは帽子だとかコートなどの軽いものにしたいものです。
旅先での買い物は、国によってまけます。値切り方も一つのエチケット。
○東南アジアや中近東では、まず普通の店では値切った方が得です。それなりの掛け値がしてあるからです。半分くらいにネギって、だんだんとお互いに値を調整したらいいでしょう。こんなところでは向こうの言い値で買うのは、バカにされるだけです。日本人の中には、言い値で平気で買う人が多いので、値段をつり上げるのに役立っているのだそうです。それと大抵の場合ドルが通用するので、買い物はドルに換算してもらった方が少し得になります。
ホテル、デパートは原則として値引きはしない。
○デパートやホテルの店で売っているものは、ほとんど値引きしません。まけるまでテコでも動かなかったり、買わないフリをすればまけるだろうと思って店を出て行ったが、誰も呼び止めなかったりという笑い話もあります。
持っていくお金は最小限度にしておく事。
○全般に日本人は金持ちだと思われています。それは、本当にお金があるからではなく、やたらと手当たり次第で買いあさるからです。胴巻きにうなるほど入れて、その札束をちらかせるようなやり方は、決してスマートではありません。金で頬を張る、相手をバカにした、最もエチケットの無いやり方です。