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飲食時のエチケット
箸の持ち方には気をつけましょう。
○最近は家庭で、小さな時にお箸の持ち方についてあまりやかましく言わない両親が増えたのでしょうか、まるでサルがお箸を持っているような手つきで食べている人があります。これは成人としては恥ずかしいです。その人の両親までが「しつけがなっていない」と、悪く思われがちになります。食事をする時はちゃんとお箸を持って、正しい姿勢で頂きましょう。

食べる時は雰囲気を楽しく。若さにまかせて粗野にふるまわない。
○エチケットというのは、さりげなく、いつのまにか身につけていなければならないのですが、最も大切なのは、食器を粗末に扱わない事、それにもまして、食べるに心から喜びを感じるです。目を輝かして食べても、決してガツガツした感じにならず、お互いに良い雰囲気でテーブルを囲む事ができます
また、若さにまかせて粗野にふるまう食べ方は、慎みましょう。その場がシラけるし、あなたの人格を傷つけてしまいます。
お酒には、それぞれの飲み方、一番おいしい飲み方がある。
○日本酒を燗
かんする時、あまり熱くしすぎると、味がわかりにくくなりますので、温度には気をつける。ウイスキーやブランデーの水割りを作る時は、まず、氷をコップに入れ、その上にウイスキーorブランデーを注ぎ、それを適量の水で割る順序で作ります。そうしますと、よく混ざるからです。ソーダ割りも同じ要領です。あの氷のカチカチとコップに当たるさわやかな音を楽しみながら飲んで下さい。氷は多めの方がおいしいです。
ビールはつぎ足しをしない事。その為にも小さめのコップがいいでしょう。薄手で軽ければ尚、結構。そして、泡立ちが悪くなるのでコップを斜めにしないで注ぎます。また、あまり冷やしすぎない事も大切です。冷やしすぎますと、泡立ちが悪くなるばかりか、味や香りも半減してしまいます。また、ビールを飲むと、とかくトイレに立つ回数が多くなります。女性はその辺も注意して飲んで欲しいものです。
ブランデーは食前酒ではないので、食後にゆっくり味わって下さい。カクテルは、冷たさが生命です。いくら色が美しいからといって、温かくなるまでおいていてはなにもなりません。だいたい3分以内に飲み干すものといわれています。
お酒には、食前酒、食後酒、食事中のお酒があります。またそれぞれの料理に適応したお酒があります。その性格をよく知って楽しむ事が大切です。
ワインの赤白を厳密に考える必要はありません
○ワインには赤と白があります。赤はお肉類、白はお魚にといわれていますが、そんなに厳密に考える必要はありません。どちらにしてよいか迷う時は、ロゼといって中間のピンク色のを頼むといいでしょう。
ワインは冷やせばいいというものではなく、冷蔵庫に入れっぱなしでは味も良くありません。比較的日当たりの悪い、涼しいところにおいて、それぞれの適温で飲むべきです。
ワインを楽しむには気どらずに。食事をしながらワインを楽しむのがよい。
○レストランでワインを注文する時は、よほど知識がある人以外はあまり気どらない方がいいでしょう。沢山の知識をひけらかすと嫌われる事があります。わからない
時は店の人に、どれがおいしいか聞きましょう。ワインが飲みたいけれど大きなボトルでは飲みきれないという人もいます。そんな時は、ハーフサイズのボトルを注文しましょう。グラス売りは、ワインの芳香が抜けることを考えると、あまり感心できません。
ワインほど各種それぞれの味の違うものもありません。食事をしながら、ワインの匂いと味を楽しんで下さい。
ワインを受ける時はグラスを持ち上げない。味見は男性の役目。
○ワインを注いでもらう時は、グラスを持ち上げない。そのままテーブルに置いておくように。まず、男性のグラスに少し注がれます。その時、男性は味見をする必要があります。この味見の役は、たとえその席の主人公が女性の場合でも男性がします。そして招待した側というのが決まりです。
味見の仕方ですが、ワインと空気を十分に混ぜながらおもむろに口に運びます。まず芳香を楽しみ、次いでわずかを口に入れて味わいます。そしてOKのサインが出て、初めて全員に注がれます。慣れないと形式だけ、口をつける事になりがちですが、落ち着きをはらって、においと味を楽しんで下さい。
レストランなどでは、「何でも結構です」は考えもの。わからない時はコックの推薦するものなどを注文する。
○女性がレストランヘ食事をしにいった場合、いちばんよく出てくるセリフが、「何でも結構です」だということです。「何になさいますか」と聞かれた場合、「何でも結構です」、「お任せします」では相手は困ってしまいます。「あなたと同じものがいいわ」では、あまりにも自主性がなさすぎます。
メニューはサッと見て、早く決めるほうがいいように思っている人がいますが、ゆっくり見ても決して失礼にはあたりません。よくながめてもわからない時は、「このお店は、何がおいしいのかしら?」と聞いてみてもよいでしょう。また、ちゃんとしたレストランでは、必ずその日、コック長の勧める料理というのがあります。その中から、気に入ったものを選ぶのも一つのコツです。
●レストランなどに招かれた時は、高くも安くもないもの
○招かれた場合には、あまり高いものも、いちばん安いものを注文するのも招待主に失礼です。この時とばかり時価と書かれているものを注文して相手を驚かせないで下さい。
かといって、「私は、今日はおなかがいっぱいなので、サラダだけいただきます」、「コーヒーだけで結構です」というのは、これまた、失礼です。せっかくごちそうしようと思っている人の腰を折ることになりますから。適当に注文することが大切です。
●人を招く時は一度、下見をしたうえで。
招待する側も、初めて行くレストランの場合には、あらかじめ値段などを調べておいたほうが、失敗がなくていいでしょう。できれば一度は行ってみておいたほうがいいようです。
●デートをする時、最初のうちは行きつけの店がよいかも。                                                             ○お互いに気心の知れない間がらの場合は、堅苦しい雰囲気のところで二人黙って食事をするよりも、日頃からよく知っているところに行つたほうがいいかもしれません。お店の方がお客さんの好みがわかりますし、適当に声をかけてくれる場合もあり、和やかな雰囲気になります。
女性の中には何でも一流のところ、と考える人もいますが、高級店がおいしいとはかぎらない。場合によっては行きつけの焼き鳥屋のほうがイキでセンスがある。
●ナプキンはすぐに広げない。 
○日本でも、洋食はあたりまえになり、そのマナーもすっかり板についたようです。でも一つ気になることがあります。それはナプキンの扱いです。まず、席についたら、すぐナプキンをひざに広げる人がいます。なにか食事に飢えているようで見苦しいものです。そんなにあせることはないでしょう。料理を注文してから、ゆっくり広げても遅くはありません。食事中は、一度広げたナプキンを置いて立ち上がるのは避けたいものです。やむをえぬ事情で立ち上がる時には、いすの上に置くのではなく、まだ途中なのです、席にもどるのです、という意味をこめて、小さくしないで、広げたままテーブルの上に軽く置いていきましょう。
●ナプキンは食後、細かくきちんとたたまないこと。
○さて、食事が済みました。ここでナプキンをどうするか。たいていの人は、きちんとたたんでテーブルの上に置きます。日本では使ったものは、後かたづけをきちんとするという習慣があるからでしょう。これは、日本流であって、外国に通用するものとはいえません。正しくは、洋食の場合ならば、きちんとたたまずに、小さく丸めてテーブルに置いたたほうがいいのです。きちんとたたんだ場合には、あまり料理かおいしくなかったと、主催者側に受け取られても仕方ありません。「おいしかった」という意味をこめて、ナプキンは小きく丸めて自然にテーブルに置きましょう。これは、和食の場合には通用しないかもしれませんが。
●ナプキンで口を拭いても構わない。落としたら自分で拾わない。
女性の中には、食事中にハンドバッグから自分のハンカチを出して、口を拭く人がいますが、この場合にも、遠慮せずにナプキンを使っていいのです。口紅などはつけないほうがいいことは確かですが。
ナプキンを落としてしまった時には、自分では決して拾わないことです。ひとに見つからないように足ですくうという器用な人もいるようですが、決して見よいものではありません。ボーイを呼んで、遠慮なくその旨をいいつければいいのです。
●食事は楽しんで。洋食のマナーも窮屈にするためでなく、楽しくするためにある。
○洋食の場合には、なにかと窮屈な感じを持つかたもあるようですが、要は、おいしくお料理を食べればよいのです。外国に旅行した日本の老人が、ゆうゆうとテーブルに向かって、自分の袋から持参のはしを取り出して食べ、回りの外人がその器用なはしさばきに、すっかり感心していたという話もあります。食事は楽しんでするもの。洋食のマナーも窮屈にするためでなく、楽しくするためにあるのです。
食事は会話を楽しみながら、ゆっくり時間をかける。
○日本人には早飯が多いようですが、外人は食事に時間をかけ楽しみます。実に何気なく会話を交わしながら、何時間も食べます。また、食べるテンポは、他の人に合わせる。特に女性がいる場合は、女性より先に終わらないこと。
食事中にはクセを出さない、特に体の一部を手で触らない、見苦しい姿勢はしない。
○鼻、アゴ、髪など体の一部を触ったり、指や爪を噛んだり、貧乏ゆすりをしたり、食事中はこれらのクセはやめましょう。また、脚を組んだり、ヒジや手をテーブルにのせる事も感心しません。手を使う事で、人を指すのもいけません。ウェイターを呼ぶのに、指をパチンと鳴らすのも下品です。用がある時は、静かに指を立てるだけで十分です。
食事中、ペチャペチャ、クチャクチャ音をさせて物を食べない。
○隣席の人がずっと、ペチャペチャ、クチャクチャ音を立てて食べていると、回り人が、食欲減退します。できるだけ音を立てずに食べる習慣を小さい頃からつけたいものです。大人になってからではクセになって、簡単には直りません。とはいっても、おそばやうどんのツルツル、たくあんのポロポリなどは美味しく感じられ、時と場合によります。
スープも音を立てない。
○スープを音を立てて飲むのもよくありません。なんて無作法なと、外人から顔をしかめられる原因です。スープはすするから音がするので、食べ物を口に入れるのと同じ要領で、スプーンを入れたら、噛むように口をつむれば大丈夫です。なお、取っ手のついた小さなカップの場合は、コーヒーや紅茶のように、取っ手を持って飲んでいいのです。
ナイフやフォークの音も気をつける。
○ナイフとフォークを上手に使おうと思うあまり、緊張して食べ物をこぼしたり、思わぬ音を立てたりすることがあります。上手に食べようと考えずに、リラックスして食べましょう。アメリカ式の食べ方では、フォークを右に持ち替えて食べても構いません。食べ物によってはそのほうが安心して食べられます。それから、ライスや豆はフォークの背にのせて食べる必要はありません。すくって食べて下さい。
ナイフやフォークを落としても自分で拾わない。
○レストランでは、ナイフやフォークを落としたら、自分で拾わないことです。ボーイを呼んで拾ってもらう。「すみません」と云わなくて大丈夫です。ただ、一般家庭では自分で拾わなくてはなりません。
食べることで、一番その人のマナーがわかる。はしの上げ下ろしに注意を。
○はしの使い方も意外に難しいものです。まずはしを取るときは右手で取り、左手で受けて、右に持ちかえるのが礼儀です。はしの使い方では汁をたらしたれり、器の中のものを探ったりするのはきらわれます。一度、はしでさわったものを置いて、他のものを取るのもいけません。ほかの人が取っているときに、同時に同じ皿にはしをつっこむのもよ〈ないことです。
返しばし、つまり、はしを返してお料理を自分の小ざらに取るのも、取りばしがついているときには必要ありませんが、取りばしがないときには、一応はしを返して取りましょう。「どうぞ、そのままで」 といわれたら、あたりの雰囲気をみた上で判断すればよいでしょう。
よく、はしの先をできるだけ汚さないのが上手な食べ方だといわれますが、確かに上の方まで汚れたはしは汚ならしいものです。はしが汚れたからといって、はしとはしをすり合わせて取ろうとする人がいますが、これもよくありません。
食べ終わった後をきちんと。はしやフタは元に戻す。
○食事で一番大切なのは、後かたづけだといわれます。同様に、食べた後をきちんとしてお〈事が大切なのは、いうまでもありません。洋食の場合には、ナイフとフォークを平行に、皿の手前に並べておけば、終わったというしるし。ウェイターがただちにさげてくれるでしょう。
でも日本食の場合はどうでしょうか。日本食の場合、だれでも知っている事だからという安心感で、食べっ放しの人が意外に多いものです。食事が済んで、あなたのはしはどこにあるでしょうか。お皿の上に渡したままには、なっていないでしょうか。食事が済んだら、きちんとはし置きの上に置くか、はし袋を千代結びにした中に納めておきたいものです。
お吸いもののフタはどうでしょうか。取りっ放しのままではないでしょうか。きちんとこれも、元にもどしておきたいものです。その他、目の前を整とんしたいものです。もしも机の上が汚れてしまったら、懐紙を出してなにげなくふ〈か、その旨を伝えてきれいにしてもらいたいものです。
若い女性で「コイツ、知っているな」 と思ったとき、男性はコロッとまいってしまうものだそうです。それには、常日頃からのマナーが大切だということになりましょう。一夜づけでは必ずバレるのがマナーです。
おしぼりは日本的サービス、手をふく程度にとどめたい。日頃から手と口を洗う習性を身につけておく。
○手を洗う。この簡単なことがなかなかできなくなったのはなぜでしょう。それには、日本では必ずおしぼりが出てくるせいもありましょう。このおしぼりはたいへん気持ちのいいものですが、だからといって、やたらにどこを拭いてもいいというものではありません。手を拭き、顔を拭き、首を拭いて、ついに腕まくりして二の腕まで拭いた人があるのには閉口します。そこまでいかなくとも、メガネをはずし顔を拭く人はザラにいます。女性はお化粧の都合もあって、あまりそんなこともありませんが、男性もやはり、手を拭く程度にとめておいて欲しいものです。
洋風のきちんとしたレストランでおしぼりをくれと要求するのもどうでしょうか。おしぼりは日本的なサービスで、外国では出てきません。おしぼりがあるところなら、要求しなくても当然出てくるのですから、ない場合にはあきらめてください。どうしても手が汚れて、気になる場合には、手を洗ってきたほうがいいと思います。
家庭などでも、最近は外から帰ったら必ず手をよく石けんで洗い、口をゆすぐ常識が守られていないようです。外でどんなばい菌に出会っているかわかりません。最小限自衛するためにも、手と口をよく洗うことです。外から帰ったら、うがいを必ずすれば風邪をある程度防げるといいます。石けんで洗えば消毒作用もあるのです。こんな簡単なことを実行するクセ、それが、エチケットを守るもとでもあるのではないでしょうか。