@毎日練習を
書家でもあった歌人の会津八一は、漢字は縦線と横線、曲線で構成
されているのだから、それさえ練習すればいい字が書けると考えまし
た。皆さんも毎日少しの時間でも、縦線と横線、渦巻きの線を練習し
てみては?毎日運動すれば筋力がつくのと同じで、毎日わずかな時
間でも集中してかいていると、自然に線の質も鍛えられ、誰でも自分
らしい字や絵がかけるようになるものです。
A墨色の濃さを調整
まず、硯に水を数滴入れ、青墨を磨ります。輪郭の黒色は、濃すぎる
と顔彩の色を殺してしまうし、薄すぎると締まりのない絵になるので、
ちょうどいい濃さに調整します。
筆は全部下ろして、たっぷり墨を含ませます。その方が、線に強弱が
出やすく絵の表情が豊かになります。
B筆の持ち方
いい線を引く為のコツは、筆のてっぺんを持ち、紙に垂直に立ててか
きます。筆の下を持つと、うまくかこうという意識が働きますが、てっ
ぺんを持つと、腕が震えてうまくかけないので、それだけ気持ちが筆
先に集中します。この緊張感と集中力が、常に新鮮な気持ちをうみ、
いい線をつくるのです。
線が歪んだり、かすれたり、にじんだりしますが、それがまた味にな
ります。慣れてきたら、自分流の書き方もできてくるでしょうが、最初
はこの方法で、線に気持ちをこめるとはどういうことなのかを覚えて
下さい。
Cできるだけ細く、ゆっくり
筆を持ったら肩の力を抜いて、両脇に適度なゆとりを持って構えます。
穂先に集中し、できるだけ細く、ゆっくりと、穂先の毛2、3本だけを使
うような気持ちで筆を動かします。
最初は直線を引く練習です。横線を左から右へ、右から左へと、交互
にかいていきます。縦線も同じように上から下へ、下から上へと、数
本ずつかきます。
次に曲線の練習として、渦巻きをかきます。右巻き、左巻き、外から
内へ、内から外へと、いろいろ練習します。練習では「細く、ゆっくり
と」ですが、絵手紙では太くなったり、素早く筆を走らせたりすること
が、当然あっていいのです。
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筆を全部下ろし、たっ
ぷり墨を含ませる
余分な墨はペーパー
で拭う。墨が多いとつ
い早く筆を動かしてし
まうので、少しかすれ
気味がいい
筆のてっぺんを持ち、
紙に垂直に当てる
縦線と横線、渦巻きを
練習。10cmの直線を
1分くらいかけるつも
りで、ゆっくり線を引く。
一番上は早書きの線。
ゆっくりと穂先をきか
せて書いた線のほう
が線そのものに味が
ある |