①毎日練習を
書家でもあった歌人の会津八一は、漢字は縦線と横線、曲線で構成
されているのだから、それさえ練習すればいい字が書けると考えまし
た。皆さんも毎日少しの時間でも、縦線と横線、渦巻きの線を練習し
てみては?毎日運動すれば筋力がつくのと同じで、毎日わずかな時
間でも集中してかいていると、自然に線の質も鍛えられ、誰でも自分
らしい字や絵がかけるようになるものです。
②墨色の濃さを調整
まず、硯に水を数滴入れ、青墨を磨ります。輪郭の黒色は、濃すぎる
と顔彩の色を殺してしまうし、薄すぎると締まりのない絵になるので、
ちょうどいい濃さに調整します。
筆は全部下ろして、たっぷり墨を含ませます。その方が、線に強弱が
出やすく絵の表情が豊かになります。
③筆の持ち方
いい線を引く為のコツは、筆のてっぺんを持ち、紙に垂直に立ててか
きます。筆の下を持つと、うまくかこうという意識が働きますが、てっ
ぺんを持つと、腕が震えてうまくかけないので、それだけ気持ちが筆
先に集中します。この緊張感と集中力が、常に新鮮な気持ちをうみ、
いい線をつくるのです。
線が歪んだり、かすれたり、にじんだりしますが、それがまた味にな
ります。慣れてきたら、自分流の書き方もできてくるでしょうが、最初
はこの方法で、線に気持ちをこめるとはどういうことなのかを覚えて
下さい。
④できるだけ細く、ゆっくり
筆を持ったら肩の力を抜いて、両脇に適度なゆとりを持って構えます。
穂先に集中し、できるだけ細く、ゆっくりと、穂先の毛2、3本だけを使
うような気持ちで筆を動かします。
最初は直線を引く練習です。横線を左から右へ、右から左へと、交互
にかいていきます。縦線も同じように上から下へ、下から上へと、数
本ずつかきます。
次に曲線の練習として、渦巻きをかきます。右巻き、左巻き、外から
内へ、内から外へと、いろいろ練習します。練習では「細く、ゆっくり
と」ですが、絵手紙では太くなったり、素早く筆を走らせたりすること
が、当然あっていいのです。
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筆を全部下ろし、たっ
ぷり墨を含ませる

余分な墨はペーパー
で拭う。墨が多いとつ
い早く筆を動かしてし
まうので、少しかすれ
気味がいい

筆のてっぺんを持ち、
紙に垂直に当てる

縦線と横線、渦巻きを
練習。10cmの直線を
1分くらいかけるつも
りで、ゆっくり線を引く。
一番上は早書きの線。
ゆっくりと穂先をきか
せて書いた線のほう
が線そのものに味が
ある |