●ABC『ちょっとだけエスパー』


 主人公・文太(大泉洋)は、会社をクビになり離婚まで重なって、貯金ゼロ・居場所ゼロのどん底サラリーマン。ネットカフェを転々とする日々の中、わらにもすがる思いで受けた最終面接にまさかの合格。だがそこで社長から告げられたのは「今日から君には“ちょっとだけエスパー”になって世界を救ってもらいます」という、意味不明すぎる任務だった。
 用意された社宅に向かうと、「おかえり」と、見知らぬ女性・四季(宮崎あおい)が待っていた。彼女は文太を“自分の夫”だと信じ込み、文太は理由もわからぬまま“見知らぬ妻”との共同生活を始めることに。さらに文太が与えられた能力は、本当に“ちょっとだけエスパー”程度のもの。しかも任務には「人を愛してはならない」という不条理なルールまで課せられる。
 やがて文太の前には、同じく不思議な能力を持つ仲間や、正体不明の敵エスパーたちが現れ、世界の裏側で進む大きな計画が少しずつ姿を見せ始める。四季の涙、仲間たちの過去、文太自身の傷と希望。SFでありながら、人の心の奥をそっと撫でるラブストーリーが動き出す。愛とは何か、仲間とは何か、そして“世界を救う”とは、本当にどういうことなのか…。文太の小さな力が、大きな運命を揺さぶり始める。
 とにかく“引き寄せ力”がすごいドラマ。初回の掴みから面白さが振り切れてて、「どう転ぶのかわからん」というワクワクを毎週更新してくれる。文太の情けなさ・優しさ・不器用さを全部ひっくるめて魅力にしてしまう大泉洋は見事で、「その他大勢になりそうでならない男」を完璧に体現してる。四季役の宮崎あおいも、ふとした表情が柔らかくて切なくて、守ってあげたくなる圧倒的ヒロイン感。二人の距離が絶妙で、“愛してはならない”という制約が逆に胸を締めつける。
 さらに脇を固める俳優陣が全員クセ強で愛おしい。ディーン・フジオカの「今じゃないなー」が後半で泣きの伏線になりそうだし、北村匠海・新原泰佑ら若手の不穏さも物語をグッと引き締める。敵なのか味方なのか、その境界が毎回ゆらぐのも楽しい。四季の能力が判明した時の“ちょっとだけエスパー設定”を最大限に活かしたコメディ感も最高。
 そして何より、ただのSFでもなく、ただの恋愛ドラマでもなく、「人の傷と再生」をそっと描くヒューマン物語としての温度がある。泣ける回は容赦なく泣かせてくるし、笑いのテンポも小気味いい。このドラマ、最終的に“愛は超能力を超える”というメッセージに着地しそうな予感すらある。

■主な出演者の似顔絵集⇒http://www.ainet21.com/nigaoe.htm
#ドラマ鑑賞 #エンタメ #『ちょっとだけエスパー #大泉洋 #宮﨑あおい #ディーン・フジオカ #チャレン爺有村 #スナックタイガース #堺でおもしろい店・人 #有村正