●映画『雪風 YUKIKAZE』

 本作は太平洋戦争中、日本海軍で唯一戦後まで生き抜いた不沈の駆逐艦「雪風」の話。
 雪風は機動性に優れていて、多くの戦場で戦い抜いて沈没する僚艦の乗員を救出し、彼らと共に生還したその功績から“幸運艦”と呼ばれた。
 その驚くべき史実を背景に、映画は太平洋戦争から戦後、そして現代へと時代を横断しながら、人々の運命と葛藤を描き出す。
 物語の中心となるのは、冷静沈着な艦長・寺澤一利(竹野内豊)と、兵たちを束ね頼りにされる先任伍長・早瀬幸平(玉木宏)。
 2人はたび重なる苦難の中で時に意見をぶつけ合いつつも、お互いを信頼し合いながら数々の局面を切り抜ける。
 また、ミッドウェイ海戦で雪風に救われ、その後乗組員となる若き水雷員・井上壮太(奥平大兼)や、兄・早瀬幸平を想いながら生きる妹・早瀬サチ(當真あみ)、艦長の妻・寺澤志津(田中麗奈)などの人たちを通して、それぞれの人生と思いが丁寧に描かれている。
 さらに作中では、沈んでいくのはあくまで船ではなく“誰かの人生”であるという重みも表現され、史実に根ざしたフィクションとして、ひたすら“生きること”“救うこと”に焦点を当てたヒューマンドラマである。
 ラストでは、命を賭して誰かを守り続けた“雪風”とそこに集った人たちの姿が、時代を超えて深い余韻を残すもので観る者の胸の奥に静かに、しかし確かに響く“奇跡の史実”ともいえる物語が、となっている。
 雪風が単なる幸運で生き残ったのではなく、確かな運用技術と冷静な判断、そして艦長や乗組員の豊かな人間性と勇気があったからだと思った。
 艦長の「戦争は一度はじめてしまったら、簡単には終われなくなる」という言葉は、現代にも重く響く。さらに、ゴムボートの敵兵に機関銃を向ける射撃手に「相手は丸腰だ。恥ずかしいマネはするな」と艦長が制止。部下の「なぜ撃たないのですか」という問いに「武士道だ」と答える艦長の姿勢は、戦場であっても誇りと人間らしさを失わない凄みを示していた。極限状況下でも非道に陥らず、自らの信念を貫いた艦長の姿勢に胸を打たれたし、だからこそ雪風が終戦まで不沈であり続けた理由が納得できる。勇気とは敵を倒すことだけでなく、人としての尊厳を守り抜くことだと教えてくれる作品だった。

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