改名



 最近のお客のKさんは12月29日生まれだとか。

 私 「へえ、12月29日生まれかいな。年末のせわしない時に生まれたんやなあ」
 客K「そやねん」
 私 「1月1日生まれにしてもろたら良かったのに。昔、12月末生まれを1月1日にした人がいてたで」
 客K「1月1日やったら誰も忘れへんし、みんなが祝ってくれるからエエんやけどな」 
 私 「12月29日は年末で忙しいので、誕生日なんか忘れてるし覚えてても構ってくれへんなあ」
 客K「そやねん。1月1日にしてくれてたら人生が変わってたかもしれへんし」
 私 「K君が1月1日にしてや、言うてしっかり訴えたらよかったのに」
 客K「なんでやのん。生まれたての赤ちゃんがそんなこと分かれへんがな」
 私 「ああ、そうやったな」
 客K「母親が1月1日にしたら、と言うたけど父親が頭が固かったのでアカンかったらしいわ」
 私 「ほんだら名前を替えたらエエねん。改名をした人は結構いてるで」   
 客K「どない替えるのん?」 
 私 「1月1日。加藤1月1日、これやったら誰も忘れへんし祝ってくれるで」
 客K「加藤イチガツツイタチ…、呼び方が長ったらしくてしっくりせえへんわ」
 私 「加藤ガンタン、これどうや。1月1日はガンタンやから、覚えるのもガンタンや」
 客K「それ、簡単やろ。しやけどなんとなく日付を名前にするのん、抵抗があるなあ」
 私 「日付を名字にしてるのんはあるで」
 客K「例えば?」
 私 「四月一日はワタヌキ、八月一日はホズミ、十二月一日はシワスダ、という名前があるねん」
 客K「へえ、そんな名前があるとは知らんかったわ」
 私 「ただ氏名を変更するのには、原則、家庭裁判所の手続きが必要やねん」
 客K「家庭裁判所に申し立てせんなアカンのかいな」
 私 「それに改名するには正当な事由が必要やねん」
 客K「ややこしいんやなあ。俺はもう58歳やし、誕生日を喜ぶ年でもないし改名はエエわ」
 私 「それを早よ言うてくれんな。いろいろアイデア出して損したわ」
 客K「マスターが勝手に改名を言い出したやん」
 私 「ああ、そうやったか。改名の言い出しっぺが解明して安心したわ」
 客K「はいはい、ダジャレを言いたかったんやね」

 謎かけ:改名とかけて、クラブでホステスをチェンジすると解く。どちらも(氏名・指名)変更します
※因みに五月七日=つゆり、六月一日=うりはり、八月十五日=あきなか、八月三十一日=ほずのみや、十一月二十九日=つめづめ、十二月=しわす

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