●慕嬢詩『暖房器具』



 すっかり気温も下がり寒さが身にしみる今日この頃、すでにどちらの家でも暖房器具の世話になっていることだろう。
 我が家にはエアコンやヒーターもあるが、直ぐに暖かくなる電気こたつとガスファンヒーターを重宝している。
 私の幼い頃の暖房器具と言えば、火鉢、掘りこたつ、湯たんぽ、アンカ、アンカを小型化した携帯用暖房器具のハクキンカイロだった。
 アンカには豆炭を熱して入れて布袋に包み就寝時に布団に入れて足を温めたが、いつしか湯たんぽや電気アンカにとって代わっていった。
 ハクキンカイロは揮発油のベンジンを入れて使う金属製の容器で、屋外では懐に入れてよく使っていた。
 火鉢や堀こたつは練炭を使用していた。火鉢を兄弟で囲んでお餅や干し芋を焼きながら談笑して楽しんだ。
 大みそかには家族そろって堀こたつに入り、ミカンを食べながら『紅白歌合戦』や『ゆく年くる年』を見たものだ。
 そして私の10歳ぐらいの時に我が家に石油ストーブがやってきた。点火した直後の臭いに新しい文化の香りを感じて好きだった。
 娘の幼い頃は、石油ストーブを囲んで暖かいココアを飲みながら絵本を読んだり保育園の話をした。
 それぞれの暖房器具には、ほのぼのとしたノスタルジックな家族団欒の風景がある。

※慕嬢詩(ボジョウシ)=亡くした娘を慕う気持を綴った詩・文。私の創作語。
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