眠剤


 新型コロナウイルスが出現してから、人一倍潔癖症の妻は除菌・抗菌にかなり敏感になり、その不安から不眠症になり毎夜眠剤を飲んでいる。
 「眠剤を飲み続けると認知症になると世間で言われてるから、毎日飲まん方がエエで」と私は妻に眠剤をほどほどにするように言っていた。
 妻は「寝られない方がよけい身体に悪い」と4カ月近く続けているが、私も5月の中頃から1カ月以上眠剤を飲むようになった。
 コロナの影響で仕事や将来の事を考えると神経が高ぶって寝つきが悪くなり、普段、あまり眠剤を飲まない私まで飲むようになったのだ。
 ベッドにもぐりこむも日頃のストレスや明日の心配事が、頭の中でぐるぐる渦巻いてだんだん目が冴えてくる。
 一日中パソコンばかりして目を酷使しているせいもあるからと、床に就く1時間前からは目と頭を休めるようにしているがそれでもダメだ。 
 「出来るだけ眠剤を飲まないでおこう」
 文字を読んでいると目が疲れて眠たくなるだろうと新聞や本を読むが、2時間以上経ってもまったく眠くならない。
 ベッドの横の床には読み散らかした新聞や本が広がっている。これ以上読む気力が失せてくるも眠気が一向にやってこない。
 眠ろうとする意気込みによって覚醒が高まってしまい睡眠モードに移行出来ず、最終的には眠剤の世話になる。
 そう言えば16年前、娘は肺気腫と不眠症と仕事の悩みで精神的に疲れ果て、多量の眠剤を飲み意識不明になり救急車で病院へ運ばれた事があった。

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