【あ】
合縁奇縁=人と人との気心が合う合わないという事は、すべてこの世の中の不思議な因縁によるという事。「相縁奇縁」とも書く。
赤子の手を捻る=簡単にできる事の例え。または、弱い者をいじめ、容赦せずに痛めつける事。
秋茄子は嫁に食わすな=秋茄子はおいしいので嫁には食べさせたくない姑の気持ち。種子がないので、子供に恵まれなくなるからというもの。食べると体が冷えてよくないというもの、などの解釈がある。
東男に京女=男はたくましい東国の男がよく、女はやさしい京都の女がよい。
後の祭り=物事がすんでしまってから、何かをしようとしても、どうにもならない事の例え。または、時期をのがしてしまう事。
危ない橋も一度は渡れ=慎重になりすぎても得るものは少ない。一度くらいは失敗を覚悟で冒険してみる。
石の上にも三年=根気よく苦しい事を耐えて努力をすれば、必ず道は開けるものだ、という事冷たい石の上にも三年座れば暖かくなる、という事から。
痛し痒(かゆ)し=ふたつのやり方のうち、どちらかをやってみても、それぞれ都合が悪い事があり、どうしてよいかわからない例え。かくと痛し、かかないと痒い、の意。
井の中の蛙大海を知らず=自分の考えがとてもせまく、広い世界にはいろいろな事があるのを、何も知らないでいる例え。見聞がせまい事。せまい井戸に住む蛙は、そこが全世界と信じ、大きな海がある事を知らないという事から。
鵜の目鷹の目=ちょっとしたものも見落とさないように物を探す様子。またそのような目つきの事。または物欲しそうな目や態度をする事。鵜が魚を捕まえるときや、鷹が小鳥をねらうときは貪欲な目つきをする事から。
栄枯(えいこ)盛衰=盛んになったり衰えたりする事。隆盛になったり、衰退したりする事。
老い木に花咲く=老木に再び花が咲くように、いったん衰えたものが、もう一度盛んになる事の例え。
■ことばの抽斗TOP ■諺top
【か】
貝殻で海を量る=狭い見聞や浅薄な知識で、大きな問題を論じたり、判断したりする例え。
火中の栗を拾う=他人の利益のためにあぶない目にあい、痛い思いをする事。猿が猫をおだてて、炉の中の栗を拾わせ大火傷をさせたというイソップ物語による。
来てみればさ程でもなし富士の山=遠くから見れば壮大な山も近くに来ればそうでもなかった。子供の頃は壮大に見えた建物も、大人になって訪れるとそれ程でもなかった。
臭い物にふたをする=都合の悪い事実が外にもれるのを恐れ、その時だけ何かしようと、一時しのぎでそれを隠す事。
苦しい時の神頼み=普段は神を信じたり拝まないくせに、大きな苦しみや困難にでくわすと、神に祈って力をかりようとする事。
芸術は長く人生は短い=優れた芸術作品は、作家が死んだあとも生き続けるが、人の命はあまりに短く、はかないものだ、という事。
芸は身を助ける=習い覚えた技が、生活をするのに役に立ったり、助けになる、という事。
光陰矢の如し=年月のたつのは、矢が飛ぶように早く、そして再び帰る事はない。月日がたつのは、とても早い、という事。
郷に入っては郷に従う=新しい土地に来たら、その土地の風俗・習慣に従うのが処世の法である。
ごまめの歯ぎしり=くやしがっても、力がないために、どうする事もできない例え。
■ことばの抽斗TOP ■諺top
【さ】
猿も木から落ちる=得意な事なのに、油断して失敗してしまう事。また、名人や達人も時には失敗する事の例え。
蛇の道は蛇=ある方面の事ならば、ほかの人にはわからなくても、同類の者にはすぐわかる、という例え。大蛇の通り道を同じ蛇が簡単に見つけるように、同類のする事は仲間にすぐわかってしまう。
重箱の隅を楊枝でほじくる=つまらぬ事まで根堀り葉堀り干渉する事。また、どうでもよい事に神経を使う事。
朱に交われば赤くなる=人は交わる友、また環境によって、良くも悪くもなる。
上手の手から水が漏れる=どんな上手な人でも失敗する事があるという例え。
小人閑居して不善をなす=つまらない人間が暇でいると、ろくな事をしない。
好きこそ物の上手なれ=好きな事は自然と努力をするから上達するもの。
千里の行(こう)も足下(そつか)に始まる=遠い旅路も足もとの第一歩を踏み出す事から始まる。どんな遠大な事業も手近なところから始まるという例え。千里の道も一歩より始まる。
糟糠(そうこう)の妻=貧しく苦しかった時分から共に苦労してきた妻、長年連れ添った妻の事。「糟糠」は糟(さけかす)と糠(ぬか)。転じて、粗末な食べ物の意。
総領の甚六=長子は大事に育てられるので、その弟妹よりもおっとりしていたり、世間知らずであったりするということ。
■ことばの抽斗TOP ■諺top
【た】
大廈(たいか)の倒れんとする、一木の支うる所に非ず=大勢(タイセイ)が傾きかけてきた時には、一人の力では到底、支える事が出来ない。
台閣(だいかく)に列する=選ばれて、大臣になる。
竹を割ったよう=性格や性質がさっぱりしている事。また、気性がさっぱりしている事。
他人の空似=まったくの他人なのに、偶然顔つきや容姿などが似ている事。
旅の恥は掻き捨て=旅先では知っている人もいないので、普段ならしないような恥ずかしい事や羽目を外す事をしてしまいがちである。
智恵は万代(ばんだい)の宝=優れた智恵というものは、その持ち主一人の宝というだけでなく、のちのちまで役に立つ宝であるという事。
鶴は千年亀は万年=長生きで、めでたい事を言う言葉。鶴は千年、亀は万年生きる、という中国の神仙譚という伝説による。
手の裏を反すよう=言う事や態度が、がらりと変わってしまう事。また、そのようなさま。
出る杭は打たれる=才能・手腕があってぬきんでている人は、とかく人から憎まれる。さし出た事をする者は、人から非難され、制裁を受ける。
天狗になる=うぬぼれる事。または自慢する事。自慢する事を「鼻が高い」という事からそれを天狗に見立てた意。
天は見通し=天は人々の行いを全て見通しているので、偽る事が出来ず、人は必ず自分の行いに見合った報いを受けるという事。
時は金なり=時は貴重なものだから、お金と同じように無駄に使ってはならない、という事。
虎の子=とても大切にしている物の例え。虎は自分の子をとても大切にする事から。
■ことばの抽斗TOP ■諺top
【な】
長い目でみる=一時的な失敗や現在の状態だけで判断せず、将来を期待して気長に見守る事。将来を見通す目で物事を見るのが大切だ、という事。
泣く子は育つ=大声で泣く子は元気のよい証拠で、健康に育つという事。赤ん坊が泣くのは運動であり精神の発達にもよいとされている。
情けは人の為にならず=人に親切にすれば、その親切が人のためばかりではなく、やがては自分によい報いとしてもどってくるもの。
何も打つ手がない時、一つだけ打つ手がある。勇気を持つ事である=うまくいかない時は慎重になりすぎていて打開策が見つからないものである。勇気を振り絞ってコトに当たればうまくいく。
名は体をあらわす=人の名前は、本当の姿かたちを、よく表現している、という事。
習うより慣れろ=習ったのではなかなか自分のものにならなかった事も、体で覚えれば自然に身につく、という事。
煮え湯を飲まされる=信じきっていた者に裏切られ、ひどい目にあわされる事の形容。
盗人猛猛(たけだけ)しい=盗(ぬす)を働きながら、何もしないような顔をしている者や、悪事をとがめられて逆にくってかかるような者に対して、ののしった言葉。
猫に鰹節=わざわざ過ちを犯してしまいやすい状況を作ってしまう例え。猫に鰹節の番をさせる、という事から。
猫の手も借りたい=とても忙しい事の例え。猫など手を貸してくれるもないが、それ程忙しく、手が不足している状態である事。能ある鷹は爪を隠す=優れた鷹は獲物に襲いかかる直前まで爪を隠し、相手を油断させる事から、優れた才能の持ち主である程、普段その実力を見せびらかさないという事。
事ばの抽斗TOP 諺top