【地口:付け足し言葉】
●字典
あたりき車力よ車引き(あたりき しゃりきよ くるまひき)=「あたりまえ」の職人言葉で、車力と続けて、それは車曳き者のことだと説明合わせ。
蟻が鯛なら芋虫ゃ鯨(ありがたいなら いもむしゃくじら)=「ありがたい」の「あり」を蟻に、「たい」を鯛にかけたしゃれ。この後に「百足(むかで)汽車なら蠅(はえ)が鳥」と続く。「蟻が十なら芋虫や二十、蛇は二十五で嫁に行く」と同形の交ぜっ返しも。
いやじゃ有馬の水天宮(いやじゃありまの すいてんぐう)=「いやじゃありませんか」+「有馬の水天宮」(江戸の水天宮は久留米藩主有馬家の藩邸内にあった)
嘘を築地の御門跡(うそをつきじの ごもんせき)=「うそをつく」+「築地門跡 (「築地の御門跡」は築地本願寺のこと)
裏山椎の木山椒の木(うらやましいのき さんしょのき)=うらやましいという言葉遊び。
恐れ入谷の鬼子母人(おそれいりやの きしぼじん)=「恐れ入りやした」の「いりや」を地名の「入谷」に掛け、同地にある「鬼子母神」と続けたもの。「恐れ入りました」をしゃれていう語。
おっと合点承知之助(おっとがってん しょうちのすけ) =合点だ、承知した、という語を二つ重ねて人名のようにしたごろ合わせのしゃれ。
驚き桃の木山椒の木(おどろき もものき さんしょのき) =「驚き」の「き」に「木」をかけた語呂(ごろ)合わせ。たいそう驚いたの意。
その手は桑名の焼き蛤(そのてはくわなの やきはまぐり)=「その手は喰わない」+「桑名の(名物の)焼き蛤」。いくらうまいことを言っても、そんなことぐらいではひっかからないということ。
何か用か九日十日(なにかようか ここのかとうか)=何か用か?と七日八日をもじったもの。
びっくり下谷の広徳寺 (びっくりしたやの こうとくじ) =広徳寺は、もともと上野下谷にあって、その壮大さから「びっくりした」の表現言葉(現在は練馬区桜台に移転)
何だ神田の大明神(なんだかんだの だいみょうじん) =何だ「かんだ」と神田をもじって後は神田にある稲荷神社の名前を付けたした。
会いに北野の天満宮(あいにきたのの てんまんぐう)= 会いに「来たの」と「北野」+「天満宮」
とんだ所へ北村大膳(とんだところへ きたむらだいぜん)=「とんだ所へ来た」の「きた」に「北村」の「きた」を掛けて続けた言葉遊び。
とんだ目に太田道灌(とんだめに おおたどうかん)=「とんだ目に遭うた」の「おうた」に「太田」を掛けて続けた言葉遊び。
腹が空いて北山時雨(はらがすいて きたやましぐれ)=「北」を「来た」に掛けて、腹が空いてきたことをいう洒落。

●有名な文句をもじったもの
「舌切り雀」をもじって、「着たきり娘」
「いずくも同じ秋の夕暮れ」をもじって「水汲む親父秋の夕暮れ」
「お前百までわしゃ九十九まで」をもじって「お前掃くまでわしゃ屑熊手」
「しづ心無く花の散るらむ」をもじって「しづ心無く髪の散るらむ」
「沖の暗いのに白帆が見える」をもじって「年の若いのに白髪が見える」

●韻を踏むことによってリズムをつけるだけで、特に意味のないもの
あたりき車力、けつの穴ブリキ
嘘を筑紫(つくし)」
美味かった(馬勝った)、牛負けた
美味しかった(大石勝った)、吉良負けた
驚き桃の木山椒(さんしょ)の木
お茶の子さいさい河童の屁
おっかさんの落下傘
いないないばあさん
すいませんねん 亀は万年
ちんぷんかんぷん猫の糞
敵もさるもの引っ掻くもの
結構毛だらけ猫灰だらけ、けつのまわりは糞だらけ→映画「男はつらいよ」の寅さんの的屋のセリフ(啖呵売)で有名。
何か用か(七日八日)九日十日
日光、結構、もう結構
言わぬが花の吉野山
参ったさん、成田山
真っ平御免素麺冷や素麺
見上げたもんだよ屋根屋のふんどし
大したもんだよマレーシア→タイの南(下)にマレーシアが位置しているため。
I'm sorry ヒゲソリー、髭を剃るならカミソリー
何のこっちゃ、抹茶に紅茶
草加、越谷、千住の先よ
願ったり叶ったり、晴れたり曇ったり
しまったしまった島倉千代子
まいったまいった舞の海

●掛詞の技法を使い、後に意味のない言葉をつなげたもの。
すみま千円(「すみません」+「千円」)
あたり前田のクラッカー(「当たり前だ」+「前田のクラッカー」)
そうはいかのキンタマ(「そうは行かない」+「烏賊の金玉」) 何がなんきん唐茄子かぼちゃ(なにがなんきん とうなすかぼちゃ)
どうぞかなえて暮の鐘(「どうぞかなえてくれ」+「暮の鐘」)
そうで有馬の水天宮(「そうであります」+「有馬の水天宮」)
申し訳有馬温泉(「申し訳ありません」+「有馬温泉」)
田へしたもんだ蛙のしょんべん( 皮肉として、大したもんだ、蛙のしょんべん程度の価値だ)
アメリカンフットバース(「アメリカンフットボール」+「吹っ飛ばす」)


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